IoT向けがけん引するも、個人向けが振るわず横ばい

「国内MVNO市場調査(2024年3月末時点)」

2024年06月26日

■2024年3月末の独自サービス型SIMの回線契約数は1310.4万回線(前年同期比0.1%減)

■インターネットイニシアティブ、オプテージ、イオンリテールがシェアを拡大

■携帯電話(3G、LTE、5G)契約数に占める独自サービス型SIMの比率は6.0%で微減

■2025年3月末の独自サービス型SIMの回線契約数は1420万回線と予想(前年比8.4%増)

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は国内MVNO(仮想移動体通信事業者)市場の2024年3月末時点での実績を発表した。調査結果によると、独自サービス型SIM(※1)の回線契約数は1310.4万回線で前年同期比0.1%減となった。個人向け用途におけるMNO(移動体通信事業者)やサブブランドへの流出、NTTドコモが提供している「OCNモバイルONE」の新規受付の終了により若干ながら純減となった(データ1)。携帯電話(3G、LTE、5G)契約数に占める独自サービス型SIMの契約数比率は、前年同期比で0.3ポイント低下し6.0%となった(データ2)

2024年3月末時点での事業者シェア1位は「IIJmio」などを提供するインターネットイニシアティブ(IIJ)で。ネットワークカメラ・GPSデバイスなどIoT用の法人向けで回線数を伸ばし純増した。2位はNTTドコモ(※2)。3位はオプテージ(大阪市)、4位はイオンリテールだった。(データ3)

MM総研では2025年3月末の独自サービス型SIMの回線契約数を1420万回線(前年同期比8.4%増)と予測する。スマートフォンでは、MNOから流出する顧客はMNOのサブブランド、オンライン専用プランなどが受け皿になっており、MVNO市場への流出は減少が続く見込み。一方、IoT向けは順調に市場が拡大すると予想する(データ4)。

※1 独自サービス型SIM:MVNOがSIMカード(契約者情報記録カード)を活用して独自の料金プランで提供する回線サービス(プリペイドは含まない)
※2 NTTレゾナントは2023年7月1日、事業再編によりNTTドコモに吸収合併されたため、本調査ではNTTレゾナントが提供していたOCNモバイルONEおよびNTTコミュニケ―ションズが提供する一部法人回線を含んでNTTドコモ提供分として定義する

 

独自サービス型SIM比率は6.0%と微減した一方、サブブランド比率は拡大

2024年3月末時点の携帯電話(3G、LTE、5G)契約数は2億1990万回線。独自サービス型SIMの回線契約数は携帯電話市場全体からみると、構成比は6.0%(※3)で前年同期比0.3ポイントの微減となった(データ2)。IIJ、オプテージの2社は法人向け回線の好調や2023年12月の電気通信事業法の省令改正でより柔軟なキャンペーンの実施が可能になり、個人向けでも順調に回線数を伸ばした。一方、シェア2位のNTTドコモはOCNモバイルONEが2023年7月に新規受付を停止し、ドコモの代替プランである「irumo」などへ流出した影響で伸びは鈍化した。

また、サブブランド(Y!mobile + UQ mobile)はMNOのメインブランドからの移行ユーザーを効率よく獲得しており、引き続き大幅に回線数を増加させた。2024年3月末時点のサブブランドの契約比率は携帯電話(3G、LTE、5G)契約数の9.3%(前年同期比1.3ポイント増)まで拡大した。また、MNO各社のオンラインプラン(NTTドコモの「ahamo」、KDDIの「povo」、ソフトバンクの「LINEMO」)の契約数比率も4%強にまで拡大しており、独自サービス型SIMの対抗軸となるサービスとして好調を維持している。

※3 2020年9月末より楽天モバイルを全体回線数に含め算出し直した。

首位のIIJはIoT向けが好調でシェアを拡大

2024年3月末時点で独自サービス型SIM市場の事業者シェア1位は「IIJmio」「BIC SIM」などを提供するIIJ。2位はNTTドコモ。3位は「mineo」を提供するオプテージ、4位はイオンモバイルを提供するイオンリテール。

シェア1位のIIJは、引き続きネットワークカメラ・GPSデバイスなどIoT用の法人向けSIMが好調で回線数を伸ばした。個人向けサービスでも端末セールキャンペーンが好調で、2024年3月に最大50GBの大容量プランを拡充したことも功を奏し、堅調に契約数を伸ばした。

2位のNTTドコモは2023年7月に吸収したNTTレゾナントが提供していたOCNモバイルONEの新規受付停止により、ドコモの代替プランである「irumo」などへ流出した影響で、独自サービス型SIMのシェアは2023年9月末に比べわずかに低下した。

3位のオプテージは、個人向けモバイルサービス「mineo」で必要な容量を最適に選択できるプラン「マイピタ」が主軸で、2024年2月から始めたマイピタの全コースの基本料金を6カ月間990円とするキャンペーンが好調だった。また、長期利用者向けに同じく2月に特典制度「ファン∞とく」も拡充し、順調に契約数を伸ばした。

4位のイオンリテールはYouTubeなどのWeb広告に力を入れ、全国に展開するイオンモバイル店舗でサポートが受けられる強みや、イオンカードカウンターで契約できるようにするなど、イオン経済圏を活かした戦略で契約数を伸ばした。

MVNO市場はドコモが提供を始めた「irumo」や、サブブランドの伸長で成長が鈍化しているが、法人向けのIoT回線が市場をけん引している。個人向けサービスでは、オプテージやIIJが2023年12月に電気通信事業法の省令改正で規制対象事業者から外れ、春商戦に向けて長期利用者特典を打ち出し、キャンペーンを拡充した影響で両社の回線数は純増となった。

 

IoT向けSIM回線比率は今後50%を超える見込み

2025年3月末時点の独自サービス型SIM市場は1420万回線になると予測する(データ4)。IoT用途では引き続き市場が拡大する見込みであり、2026年3月末時点のIoT向け回線比率は54.1%と個人向けSIMを抑え、過半を占めるものと予測する。

■注意事項

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