個人市場で台数減が続く半面、法人市場は回復へ

「2023年度通期 国内パソコン出荷台数調査」

2024年05月31日

■2023年度の国内パソコン出荷台数は1077.5万台で、3年連続の減少

■個人向けは新型コロナの5類移行で低迷、法人向けは働き方の変化で中上位製品に需要

■出荷金額は1兆2394億円(前年度比0.4%減)

■2024年度は法人のPC入れ替え需要がけん引し、12.1%増の1208.3万台を見込む

概要

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称 MMRI、東京都港区、関口和一所長)は2023年度(2023年4月~2024年3月)の国内パソコン出荷台数を調査し、その結果を発表した。2023年度の出荷台数は1077.5万台(前年度比4.1%減)で、3年連続の減少となった。うち個人市場は339.3万台(前年度比11.7%減)と引き続き減少した半面、法人市場は738.2万台(前年度比0.1%減)とほぼ前年度並みとなった。メーカー別の出荷台数シェアは、トップのNECレノボがシェア24.3%で前年度比0.1ポイント低下した。(データ1)

 

出荷金額は1兆2394億円(前年度比0.4%減)となった。出荷平均単価は11万5026円で、2022年度の11万823円から4203円上昇した。2023年度は前年度(1万5810円の上昇)に比べ小幅な上昇にとどまったものの2020年度以降出荷単金は3年連続で上昇している。

 

【データ1】国内パソコン出荷台数シェア(2022年度/2023年度) ※詳細データは補足データを参照

 

 

【補足】国内パソコン出荷台数シェア詳細(2022年度/23年度)

詳細

個人向けは巣ごもり需要の反動が顕著、法人は買い替えで復調の兆し

個人市場は339.3万台(前年度比11.7%減)となった(データ2)。新型コロナウイルス感染症が5類に移行した2023年5月以降、市場全体の低迷が続いたが、ネット通販の強化や10万円以下の商品のラインアップ強化などが下支えした。メーカー各社の新製品価格は上昇傾向にあり、2024年の新入学セール期間では、販売台数の落ち込みに歯止めがかかり、巣ごもり需要の反動減が落ち着いたとみられる。

 

【データ2】個人市場向け出荷台数シェア(2022年度/2023年度)

 

法人市場は738.2万台(前年度比0.1%減)となった(データ3)。児童生徒に1人1台の学習端末環境を実現するGIGAスクール需要を除くと、通常の法人市場は706.1万台となり、前年度比2%増となっている。台数シェアでは、首位のNECレノボが0.6ポイント低下、2位のアップルが2.7ポイント上昇したものの、上位5社の順位に変化はなかった。在宅勤務とオフィス勤務を織り交ぜたハイブリッドワークが広がるなど働き方の変化により、比較的高性能・高価格のノートブック需要が広がり、各社とも平均単価以上の中上位価格帯製品の拡充に努めている。

【データ3】法人市場向け出荷台数シェア(2022年度/2023年度)

データ4】国内パソコンのルート別出荷台数

 

2024年度出荷は12.1%増の1208.3万台と予測、AI PCに要注目

2024年度のパソコン出荷台数は前年度比12.1%増の1208.3万台を見込む(データ4)。個人市場は2.4%増の347.4万台と下げ止まり、若干の回復を見込む。法人市場は16.6%増の860.9万台を見込む。2025年10月に迫った基本ソフト(OS)「Windows10」の延長サポート終了を控え、パソコンの更新需要が本格化する。加えて、GIGAスクール端末の更新が始まることも台数増の後押しとなろう。OSの更新需要は2025年度上期まで市場を押し上げ、GIGAスクールの需要期は2025年度下期がピークとなることが予想される。2025年度は2024年度をさらに上回り、パソコン市場の活況は2年連続で続くと予測している。

 

MM総研取締役研究部長の中村成希は「2024年度はパソコンの更新需要に加え、AI(人工知能)対応の半導体を搭載する『AIパソコン』の販売動向に注目が集まる。マイクロソフトは5月に『Copilot+PC』と呼ぶ生成AI向けの機能を備えたAIパソコンを開発したと発表した。さらにクアルコム社製のパソコン内でAIの処理を担うニューラルネットワーク・プロセッシング・ユニット(NPU)搭載機が各メーカーから6月以降順次投入される。年末にはインテルもマイクロソフトが提唱するAIパソコンの基準を上回る性能を持つNPUを投入する見込みだ。日本は人口減といった社会背景、アニメやゲームに加え、衣食住や歴史遺産など世界に自由に発信できるコンテンツが豊富にあり、世界的にみてもAIを活用して生活スタイル変革や働き方革新を提唱しやすい環境にある。パーソナルAIがキラーコンテンツとなり、パソコンを利用して一人ひとりが自分専用のAIを持つ時代が来るか。日本市場での動向が世界的に注目されるだろう」とコメントしている。

 

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株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀以上にわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。

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