認知率向上と利用メリット訴求に課題

「モビリティサービスに関する調査」(2023年6月時点)

2023年07月20日

■「カーシェア」「タクシー配車アプリ」「シェアサイクル」が約5割の認知率

■低い利用率ながら、潜在的なユーザーが一定数存在

■モビリティサービスを利用するボリュームゾーンは30代

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、東京都・大阪府・愛知県に住む15~79歳の男女1万7809人を対象にWebアンケート調査を実施し、モビリティサービスに関する利用実態をまとめた。改正道路交通法の施行に伴い、今年7月から一定の条件を満たせば運転免許がなくても電動キックボードに乗れるようになったなど、新しいモビリティサービスは広がりつつある。調査対象としたサービスは「カーシェア」「タクシー配車アプリ」「シェアサイクル」「電動キックボードシェア」「シェアパーキング」「ライドシェア」「MaaSサービス」。各サービスの認知率や利用率、利用しているユーザーの特徴などを分析した。

※ ひとつのアプリ内で電車やバス、タクシー、カーシェア、シェアサイクルなど多くの交通手段を組み合わせたルート検索から予約、支払いなどを一括で行うことができるサービス

「カーシェア」「タクシー配車アプリ」「シェアサイクル」が約5割の認知率

調査結果によると、カーシェアとタクシー配車アプリ、シェアサイクルについては5割程度の認知率となった(データ1)。タクシー配車アプリはタクシー車両側面の広告やネット広告への積極的な出稿、カーシェアとシェアサイクルは拠点となるポートやステーションなどが増えてきているものの、4割以上の人が認知していない結果となった。その他のサービスの認知率は3割以下にとどまった。調査対象としたサービスを「すべて知らない」と答えた割合は30.4%だった。

【データ1】 モビリティサービスの認知率

低い利用率ながら、潜在的なユーザーが一定数存在

利用率については、タクシー配車アプリが11.6%だったが、それ以外のサービスは10%を下回る結果となった(データ2)。認知率の低さという課題とともに、サービスについて認知していても利用に至るまでの人が少ないこともうかがえる。一方、「利用したことはないが利用してみたい」が、カーシェアとタクシー配車アプリでは「利用したことがある」と同程度、その他のサービスについては倍以上存在していることから、潜在的な利用ユーザーが現時点でも一定数存在していることがわかる。対象となったすべてのサービスを利用したことがない人は80.8%だった。

【データ2】モビリティサービスの利用率と利用意向

各サービスのボリュームゾーンは30代

各サービス利用者を性年代別にみると、各サービスで30代(30-39歳)男性か女性、もしくはその両方の利用率が比較的高かった(データ3)。30代男女がシェアパーキングとカーシェア、シェアサイクルでは全体の約3割、電動キックボードシェアは同約4割、ライドシェアとMaaSサービスは同約5割を占める。

電動キックボードシェアについては20代と30代男性で全体の4割以上を占める結果となった。10代(15-19歳)男性も3.3%と他のサービスと比べて高く、若い男性を中心に広がっていることがわかる。

【データ3】性年代別の利用状況

メリット訴求や「お得感」創出へ異業種との連携などが求められる

これらのモビリティサービスは現時点で認知率、利用率ともに低い。サービスを知らない人に対するプロモーションとともに、サービスを認知していながらも利用したことのないユーザーを引き込むためにも、サービスを利用するメリットを具体的に訴求していく必要がある。

今回の調査では、利用ユーザーの利用シーンが休日に出かける際や旅行、観光先での移動時が多くを占めることもわかった。複数のモビリティサービスの連携はもちろん、異業種サービスとの連携も進め、例えばサービス利用者へ目的地となる商業施設のクーポン券を発行するなどの「お得感」もさらに創出していく必要がある。

また、認知していながらも利用に至らない理由が「現在ある移動手段に不便を感じていないから」とする人が多く、通勤や通学など、普段利用のメリットを訴求することで、市場の拡大が期待できる。カーシェアは一部の企業で移動経費として認められるケースもあるが、シェアサイクルや電動キックボードシェアなどについても、法人利用を促していくなどで、社会受容性を高めていくことも必要になるだろう。

 


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