台数減少するも出荷金額は2ケタの増加に
「2022年度通期 国内パソコン出荷台数調査」
2023年05月31日
■ 2022年度の国内パソコン出荷台数は1123.4万台(前年度比4.4%減)
■ 出荷金額は1兆2450億円(11.5%増)、出荷単金は11万823円(1万5810円増)
■ 個人市場は2023年度も台数減少の見通し、法人市場はDXやOS移行需要で回復基調へ
ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は2022年度(2022年4月~2023年3月)の国内パソコン出荷台数を調査し、その結果を発表した。出荷台数は1123.4万台(前年度比4.4%減)で2年連続の減少となった。メーカー別の出荷台数シェアはトップのNECレノボがシェア24.4%で、前年度比0.3ポイント低下した。(データ1)。
出荷金額は1兆2450億円(前年度比11.5%増)となった。出荷平均単価は11万823円で、2021年度の9万5013円から1万5810円上昇した。生徒1人1台端末を実現したGIGAスクール構想向けの低価格帯ノートブックの出荷が一巡したこともあり、2020年度から2022年度の間に、出荷単金は3万円近く上昇する結果となった。
【データ1】国内パソコン出荷台数シェア(2021年度/2022年度)※詳細データはP2.補足データを参照
【補足】国内パソコン出荷台数シェア詳細(2021年度/2022年度)
個人向けは製品値上げの影響で苦戦、法人は買い替えで復調の兆し
個人市場は384.4万台(前年度比5.3%減)となった(データ2)。日本HPが順位をひとつ上げ4位に、デルが5位に後退した。デルは年度後半に円安の影響を受け、直販を中心に年末や年度末向けの新製品価格が値上げとなったことが響いた。2023年に入り、メーカー各社の新製品価格は上昇傾向にあり、今後も販売台数は厳しい状況が続くと考えられる。アップルは独自半導体のM1/M2チップ搭載の製品への評価が高くシェア3位を維持しているが、2022年から2023年にかけての値上げ幅は大きい。今年冬に予定されているインテルやAMD、クアルコムといったWindowsやChromebook向けの新CPU投入で処理性能差が縮小すると、シェア争いに変化が起きる可能性もあろう。
【データ2】個人市場向け出荷台数シェア(2021年度/2022年度)
法人市場は739万台(前年度比4%減)となった。GIGAスクール向けを除くと694万台で前年度比3%増(データ3)。大手メーカー上位5社は全てシェアを拡大する結果となった。在宅勤務とオフィス勤務を織り交ぜた働き方の変化により、比較的高価格のノートブック需要が広がり、各社とも製品の拡充に注力している。
【データ3】法人市場向け出荷台数シェア(2021年度/2022年度)
【データ4】国内パソコンのルート別出荷台数
2023年度出荷は1.9%減の1102.5万台と予測、2025年に向け需要回復
2023年度のパソコン出荷台数は前年度比1.9%減の1102.5万台を見込む(データ4)。個人市場は、5.4%減の363.5万台と3年連続の台数減と予測する。法人市場は2019年度に導入したWindows10搭載機のWindows11への移行が始まり、横ばいの739万台を見込む。端境期を迎えているGIGAスクール需要を除く、通常の法人需要は720万台程度となろう。
MM総研の取締役研究部長の中村成希は「2022年度のパソコン市場は、円安による製品価格の上昇で期初想定を下回る結果となった。個人市場は2023年度前半も低調に推移するとみられる。一方、Windows OSの本格的な移行需要が見込まれる2025年度に向け、法人市場は増加傾向が続くだろう。パソコンの基幹部品は、世界的な需要減で価格も下落傾向となり価格も落ち着きつつあることから、日本市場は世界に先行して台数増に転じる可能性がある。また法人のデジタルトランスフォーメーション(DX)需要も引き続き底堅く、個人市場を中心とするスマートフォン市場より先行して需要が回復することとなろう」とコメントしている。
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