FTTHの上期純増数、減少比率は過去最大

「ブロードバンド回線事業者の加入件数調査」(2022年9月末時点)

2022年11月30日

■2022年9月末のFTTH契約数は3733万件で2022年度上期の純増数は67万件

■上期純増数はテレワーク需要の一巡で前年同期比32.8%の減少

■FTTHのISPシェアではソフトバンクが首位を維持

■2022年度のFTTH年間純増数は125万件を予測、コロナ前の水準を下回る見込み

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、2022年度上期(2022年4月~2022年9月)のブロードバンド回線事業者の加入件数調査結果を発表した。2022年9月末時点のFTTH(光回線サービス)の契約数は3733.3万件で、純増数は2022年3月末から67.3万件の増加(伸び率は1.8%)となった(データ1)。コロナ禍のテレワーク需要の急拡大を背景に100.1万の純増を記録した2021年度上期と比較すると32.8%の減少となった。純増数の前年上期との比較では過去最大の減少となった。

コロナ禍の行動制限も緩和されてきていることもあり、2022年度下期も新たな需要の開拓は見込めずFTTH市場の成長鈍化が予測される。2022年度通期の純増数は125.2万件となり、コロナ前の2019年度の水準(133.7万件)を下回ると予測する。

【データ1】 FTTH契約数の純増数の推移

NTT東西のシェアは徐々に低下、NURO光は拡大が続く

FTTH事業者の契約件数シェア(2022年9月末)では、NTTの光回線(フレッツ光およびコラボ光)契約数が東西合計で2348.7万件(シェア62.9%)となった(データ2)。2021年9月末の64.0%から1.1ポイント減とシェアは徐々に低下している。

事業者がNTT東西の光回線を借りて自社ブランドで展開するコラボ光の2022年9月末の総契約数は1664.0万件でFTTH市場全体に占める割合は44.5%、NTTの光回線に占める割合は70.8%となった。コラボ光の契約数シェアでは、NTTドコモが729万件でシェア首位を維持。ソフトバンクと合わせた携帯2キャリアのシェアは、引き続き7割超を占める。両社ともスマートフォンとのセット販売で獲得を図っている。

光回線事業者の中で好調に契約数を伸ばしたのはソニーネットワークコミュニケーションズ。2Gbpsのサービスを中心とした「NURO光」の販売が好調でシェア3.6%(前年同期比0.7ポイント増)を獲得。市場全体の純増数が大きく落ち込むなかで、積極的な販促施策を展開し、上位5事業者の中で唯一シェアを拡大させた。

アルテリア・ネットワークスは、主力の「UCOM光 レジデンス」を中心に集合住宅向け全戸一括型の導入が継続的に進み、2022年9月末にシェア2.0%(0.2ポイント増)となった。近年注力する賃貸物件向けも引き続き好調であることに加え、10Gbpsをはじめとする高品質サービスの訴求で新築分譲物件への導入案件を安定的に獲得している。

【データ2】FTTH契約数・回線事業者シェア(2022年9月末)

※NTT東西にはフレッツ光のほか、光コラボレーションモデルの件数が含まれる
※KDDIにはauひかりのほか、中部テレコミュニケーション(コミュファ光)および沖縄セルラー電話(auひかり ちゅら)などの件数が含まれる
※ソニーネットワークコミュニケーションズにはNURO光のほか、法人向けNUROアクセス、マンション向けNURO 光 Connectなどの件数が含まれる
※四捨五入の関係で合計が100%にならない場合がある

FTTHのISPシェアはソフトバンクが首位を維持

2022年9月末のISP事業者のFTTH契約数では、ソフトバンクが件数を伸ばし首位を維持した(データ3)。2位はNTTレゾナント、次いでNTTドコモとNTTグループが続く。なお、NTTレゾナントは2022年7月のNTTグループの事業再編によりNTTコミュニケーションズの事業を承継、NTTドコモは吸収合併したNTTぷららのISPとドコモnetとの合算となる。「NURO光」が好調なソニーネットワークコミュニケーションズのほか、ニフティも堅調に顧客を増やした。

【データ3】FTTH契約数・ISPシェア(2022年9月末)

※NTTレゾナントにはNTTコミュニケーションズが提供する分が一部含まれる
※NTTぷららはNTTドコモに吸収合併されたため今回よりNTTドコモとして表記。
※四捨五入の関係で合計が100%にならない場合がある

固定ブロードバンド市場全体ではソフトバンクがシェア首位を維持

固定ブロードバンド(FTTH、ADSL、CATV、ワイヤレス*の合計)市場では、ソフトバンクがシェア首位を維持(データ4)。モバイルとのセット訴求を行うFTTHサービス「SoftBank光」で契約数を伸ばした。
*無線を利用した宅内据え置き型の高速インターネットサービスを指し、モバイルルーターを含まない

【データ4】固定ブロードバンド契約数・ISPシェア(2022年9月末)

※NTTレゾナントにはNTTコミュニケーションズが提供する分が一部含まれる
※NTTぷららはNTTドコモに吸収合併されたため今回よりNTTドコモとして表記。docomo home5Gも含まれる
※四捨五入の関係で合計が100%にならない場合がある

FTTH市場は在宅需要一巡で成長鈍化、ワイヤレスは拡大継続

固定ブロードバンド市場は緩やかに成長が続き、2023年中にも5000万件を超える見込みである。2023年以降にサービス終了予定のADSLや光化が進むCATVアクセスが減少していく一方で、FTTHやワイヤレスの市場が継続的に拡大。固定ブロードバンド市場の2022年3月末から2025年3月末までの年平均成長率は2.7%と予測する(データ5)。前回2022年5月発表時の予測(3.1%)よりもFTTHやワイヤレス市場の成長スピードが鈍るとみて、下方修正した。

【データ5】固定ブロードバンド契約数の推移・予測

※2023年3月末以降は予測値
※ワイヤレスは、無線を利用した宅内据え置き型の高速インターネットサービスを指し、モバイルルーターを含まない

2022年度(2022年4月~2023年3月)のFTTH市場は年間125万件の純増を予測する。2020年度および2021年度に増加したコロナ禍の在宅通信需要は一巡し、2021年度の165万件純増から大きく落ち込むと分析している。中期的にはCATVインフラの光化や集合住宅の全戸一括型導入、ワイヤレスからの移行を取り込み、継続的な成長を見込む。2022年度以降の3年間の年平均成長率は2.8%と予測する。

ワイヤレス市場は2021年度に新規参入したNTTドコモの「home 5G」の拡大が牽引し、堅調に契約数が増加している。2023年3月末には固定ブロードバンド契約数の1割に達する見込みで、2022年度以降の3年間の年平均成長率は12.4%と二桁成長が続くと予測する。一方で、ワイヤレス利用者がより安定的な通信を利用するためにFTTHへ移行する動きも一部で見られ、ワイヤレスサービス提供事業者は5G対応のホームルーター端末の普及やエリアの拡大をはじめ、より高品質な通信サービスが求められている。


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