デジタルリスクサービスの市場規模は77億円に拡大

「デジタルリスクサービスに関する利用動向調査」(2022年6月時点)

2022年09月07日

■2021年度の市場規模は77.4億円、リスクの高まりを背景に拡大基調が続く
■サービス利用者(検知・対策サービス)は6割以上が支出額を増額する見込み
■利用者は技術的優位性ではなく個別課題への解決能力をより重視する傾向

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は企業経営者、総務企画担当者、情報システム担当者などを対象にWebアンケート調査を実施し、2022年6月時点のデジタルリスクサービスに関する利用動向をまとめた。Webでの情報発信を日常的に行う国内企業11,038社を対象とし、その中からデジタルリスクサービスを利用している749社を抽出して調査した。

「デジタルリスク」とは、事実か否かを問わず企業にとってネガティブな情報がWeb上に存在している状態を指す。具体的にはSNSや掲示板上の風評・悪評が代表的なリスクとなる。最近では転職クチコミサイト、検索サイト・地図情報などに連動した企業プロフィールに書き込まれたネガティブな投稿なども含まれ、メディアや手法の多様化が著しい。本調査では、このようなデジタルリスクに対処するサービスのうち、Web上のネガティブ情報を検知する「検知系サービス」、およびSEO(Search Engine Optimization)対策など適切な情報を露出させてデジタルリスクの影響を軽減する「対策系サービス」の2種類を対象とした(詳細後述)。

調査結果を基にした拡大推計によると、2021年度のデジタルリスクサービスの市場規模は77.4億円で、前年度比15.0%増と拡大した。リスクの高まりとこれに対応するサービスの多様化を背景に、2024年度には139.2億円に拡大するものと予測する(データ1)

【データ1】デジタルリスクサービスの市場規模推移と予測

市場分類別では、検知系サービスの2021年度の市場規模は35.3億円となった。2021年度から2024年度までの年平均成長率(CAGR)は18.6%になると予測される。一方、対策系サービスの2021年度の市場規模は42.1億円で、2024年度までのCAGRは24.0%と予測した。

サービス利用は全体の20%弱と新規開拓の余地が大きい

デジタルリスクがWeb上に存在することは企業が発信する積極的な情報を打ち消し、適切な広報活動を妨げる効果を生む。影響がより深刻となる場合、①新規取引の見送り、②既存取引の解約、③採用活動への影響、④株価の下落などのリスクが生じる。さらに、SNSやニュースメディアなどを通じてネガティブな情報が拡散し、その状態を制御できなくなる「炎上」が発生すると、企業は極めて深刻なブランド毀損を受ける可能性が著しく高まる。

Webでの情報発信を日常的に行っている企業にデジタルリスク対策の実施状況を確認したところ、デジタルリスクの脅威を理解し、何らかの対策を取る企業は未だ少数派なのが実態である。現在の企業側のデジタルリスクへの取り組みとして、「対策を実施している」・「過去に『炎上』などを経験しており、対策を徹底している」の合計は19.0%であった。一方、「何も実施していない」企業は58.0%と6割に迫る結果となった(データ2)

【データ2】デジタルリスク対策の実施状況(n=6,109)

デジタルリスク対策を「何も実施していない」理由を確認すると「直近で深刻なリスクが発生していない」が26.3%で最多となる。一般に、深刻な炎上事件の報道があるときにデジタルリスクサービスの需要が喚起される。これは情報漏洩事故発生時に購買希望者が増加するネットワークセキュリティ市場と同様であることから、さらなる需要拡大には参入事業者による一層の啓発活動が不可欠である。

また、企業内にデジタルリスクに対する知見が蓄積されておらず、何から着手するべきかわからない企業が多いという実態も明らかになった。23.6%の企業が「デジタルリスクに詳しい人材がいない」と回答。21.2%の企業は「どのようなデジタルリスクサービスを利用すればよいかわからない」を、18.6%は「デジタルリスクに対応する人員を確保できない」を利用していない理由とした。

デジタルリスクサービス利用者の6割以上が支出を増やす見通し

一方で、すでにデジタルリスク対策を実施している企業は、今後の支出額を増やす見通しである。検知系サービスでは約6割、対策系サービスでは約7割の企業が、2022年度の支出額を増やすと回答(データ3)。さらに、2022年度では支払額を「前年度の2倍以上に増やす」と回答した企業が、検知系サービスでは15.9%、対策系サービスでは17.4%に上った。反対に、「前年度よりも減らす」・「利用を取りやめる」と回答した企業は10%以下にとどまった。

SNSや各種掲示板の普及に伴い、広く一般に自由な投稿が可能となったことで、企業がデジタルリスクに晒される可能性が高まっている。経営に影響を与えた事例も増え、必要な対策も多様化していることが、サービス利用者の支出拡大につながっていく見通しだ。

【データ3】デジタルリスクサービス利用者のサービス支出額見通し

利用者は顧客課題の解決能力を高い事業者を選択

デジタルリスクサービスに関する委託事業者を選定する際の基準を確認すると、検知系サービス・対策系サービスともに提供する事業者の実績、信頼性、担当者のスキルなど人的な要素がより重視されている。その一方で、技術的要素については「セキュリティが高くて安心できる」という点を除き、さほど重視されていない(データ4)。デジタルリスクサービスにおける事業者選定では技術的な優位性よりも、自社の特徴・実績を示した上で具体的な顧客課題を適切に解決する提案能力がより重視されている。 

【データ4】デジタルリスクサービス提供事業者の主な選定理由

また、サービスの未利用企業が利用を検討したいサービスについて、回答が多い順に並べると「企業研修」が42.6%、「デジタルリスクに対する社内体制構築支援」が26.1%、「企業法務支援・訴訟対応」が24.4%で、いずれもデジタルリスク発生の予防や事前の対策シミュレーションなどに関するサービスであった。

業務で培った検知・対策の知見を活かし、デジタルリスクの予防やリスク事象が発生した時の事前準備などに役立つ情報提供や提案活動を推進することで、検知系サービスや対策系サービスに対する新規顧客の掘り起こしにつながる可能性を示唆している。

以上

■調査概要
1. 調査対象:デジタルリスクサービスを利用する国内法人
   ―経営者、および経営企画、広報、情報システム等の実務担当者
   ―デジタルリスクサービスの導入にあたり決裁や選定に関与する者
2. 回答件数:予備調査…11,038社、本調査…749社
3. 調査方法:Webアンケート
4. 調査期間:2022年6月3日~9日
5. 調査対象としたデジタルリスクサービス:「検知系サービス」・「対策系サービス」

「検知系サービス」=SaaS型SNS・Webモニタリングツール、Web監視サービス(人的監視を含む)、採用予定者の投稿確認サービス、デジタルリスク報告書の提供・定期報告会実施など、デジタルリスクを検知するためのサービス群。

「対策系サービス」=SEO対策(検索エンジン最適化)、情報提供ページ作成、広報業務支援(謝罪文作成支援・メディアトレーニングなど含む)など、デジタルリスクによる影響を軽減し、適切な情報を流通させるためのサービス群。

※なお、デジタルリスクサービスには企業研修や社内体制構築支援、企業法務支援・訴訟対応などの「予防系サービス」も存在するが、市場規模の算定項目からは除外した。

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担当:狩野
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■MM総研について
株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀近くにわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。

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