独自サービス型SIM市場は回復基調に転じる見込み

「国内MVNO市場調査(2022年3月末時点)」

2022年06月23日

■2022年3月末の独自サービス型SIMの回線契約数は1259.4万回線(前年同期比0.2%減)

■携帯電話(3G、LTE、5G)契約数に占める独自サービス型SIMの比率は6.3%(0.2ポイント減)

■2023年3月末の独自サービス型SIMの回線契約数は1410万回線と予想(前年同期比12.0%増)

■価格優位性を武器にスマホ・IoT向けの両輪で再び成長路線を目指す

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は国内MVNO市場の2022年3月末時点での実績を発表した。調査結果によると、独自サービス型SIMの回線契約数は1259.4万回線となり、前年同期比で0.2%減となった。若干のマイナスになったものの、2021年9月末からは増加に転じている(データ1)。携帯電話(3G、LTE、5G)契約数に占める独自サービス型SIMの契約数比率は、2021年3月末から0.2ポイント減の6.3%になった(データ2)

2022年3月末時点での独自サービス型SIM市場の事業者シェア1位は「IIJmio」などを提供するインターネットイニシアティブ。IoT用途を含む法人向け回線が好調で、1年間で27.8万回線純増した。2位はNTTコミュニケーションズ。3位はオプテージだった(データ3)

MM総研では2023年3月末の独自サービス型SIMの回線契約数を1410万回線(前年比12.0%増)と予測する。スマートフォン向け用途では、大手通信事業者(MNO)によるサブブランド、オンライン専用プランの拡販強化、端末値下げなどの影響が大きいものの、楽天モバイルのMVNO 利用者が楽天MNO などに移行する動きがペースダウンしていることに加え、死守している価格優位性を武器として上位事業者が販売数を伸ばしていることから、若干のプラスになる見込み。なお、IoT向け用途はこれまでの予測よりも普及スピードは緩やかになるものの、引き続き大幅な成長が見込まれる(データ4)。

【データ1】 独自サービス型SIMの市場規模

携帯契約数に占める独自サービス型SIM比率は6.3%、サブブランドとオンライン専用プランがシェアを拡大

2022年3月末時点の携帯電話(3G、LTE、5G)契約数は2億100万回線。独自サービス型SIMの回線契約数は携帯電話市場全体から見ると構成比で6.3%と2021年3月末から0.2ポイント減少した(データ2)※1。しかしながら、2021年9月末からの半期で見た場合、春商戦での販売が好調だったほか、IoT用途での導入が進んだことから横ばいで推移する結果になった。

オンライン専用プランの開始にともない、低価格かつ店舗で直接サポートを受けることができるサブブランドへの注目が高まった。家族割引の訴求、「でんき」「ポイント」とのセット販売などの拡販施策も奏功し、2022年3月末時点のサブブランド(Y!mobile + UQ mobile)契約数比率は前年同期の4.7%から6.2%に拡大。サブブランド2社の合計回線数は独自サービス型SIMの総計に肉薄する状況になった。また、NTTドコモのオンライン専用プラン「ahamo」が300万回線、KDDIのpovoが150万件に迫る勢いを見せており、独自サービス型SIMの対抗軸となるサービスが非常に好調であった。

※1.  2020年9月末より楽天モバイルを全体回線数に含め算出し直した。

【データ2】携帯電話(3G、LTE、5G)契約数に占める独自サービス型SIMの契約数比率

インターネットイニシアティブが1位を獲得

2022年3月末時点で独自サービス型SIM市場の事業者シェア1位は「IIJmio」・「BIC SIM」などを提供するインターネットイニシアティブ。2位は「OCNモバイルONE」などを提供するNTTコミュニケーションズ。3位は「mineo」を提供するオプテージ。4位は「BIGLOBE SIM」などを提供するビッグローブとなった。

シェア1位のインターネットイニシアティブ(IIJ)は、新料金プラン「ギガプラン」が好調で、個人向けサービスにおいて4四半期連続の純増を記録。IoTを含む法人分野でも1年で20万超の純増を記録しており、個人・法人ともに順調に回線数を伸ばした。2位のNTTコミュニケーションズは、goo Simsellerを通じたスマホ端末のセット販売が堅調に推移しているほか、2021年10月からは「ドコモのエコノミーMVNO」として全国のドコモショップで販売を開始。特に2022年1~3月の春商戦期における販売が好調であった。なお、フルMVNO基盤を活用したIoT向け回線も好調を維持した。

3位のオプテージは、大手キャリアのオンライン専用プランに対抗して2021年2月に大幅な値下げを実現した新料金プラン「マイピタ」の提供を開始。その後、回線数は伸び悩んだが、各種割引キャンペーンや2022年3月に開始した、ランチタイム(12時~13時)の速度が制限される代わりに、その他時間帯が容量制限なしで利用できる「マイそく」が好評で、1~3月の春商戦に契約数を伸ばした。4位のビッグローブはYouTubeなどのエンタメ系サービスの通信量が定額料金で使い放題になる「エンタメフリー・オプション」の割引キャンペーンで競合との差別化を打ち出したほか、固定回線とのセット割引を武器に堅調に回線数を伸ばした(データ3)

楽天モバイルはMNOでは2022年3月末時点で491万回線と順調に獲得が進んでいるが、2020年4月時点で新規受付を停止した楽天モバイル(MVNO)を見ると、シェア1位であった2020年3月末からの2年間で150万回線以上の純減になった。MNO参入以降、矢継ぎ早にキャンペーンを展開してMVNO契約者の移行を促してきたが、この半年間は大幅に移行スピードが鈍化している。

【データ3】独自サービス型SIMの事業者シェア

IoT用途拡大で再び成長路線へ

2023年3月末時点の独自サービス型SIM市場は1410万回線になると予測する(データ4)。IoT用途では、これまでの予測より普及スピードは緩やかになるものの、引き続き市場の拡大が見込まれ、2024年3月末時点のIoT向け回線比率は45.9%に達すると予測する。

【データ4】独自サービス型SIM市場予測


■報道に際しての注意事項
1. 本プレスリリースは、MM総研が実施した市場調査の結果と分析について、報道機関限定で詳細データを提供するものです。
2. 出典を「MM総研」と明記して下さい(MMは全角)
3. 数値等は表ではなくグラフ化して掲載して下さい。
4. MM総研の独自調査結果であり、公的機関の統計や企業の公表数値等と異なることがあります。また、作成時点におけるものであり、今後予告なしに変更されることがあります。
5. 本データを報道以外の以下用途で無断利用することを固く禁じます。
 -プロモーション(広告・販売促進資料・ホームページ掲載・チラシ等外部に発信する資料・データ)
 -セミナー・講演会
 -その他、営業目的・営利目的での使用
6. 調査の詳細、研究員コメント、データ利活用などについては、担当者までお問い合わせ下さい。

 ■MM総研について
株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀近くにわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。

本件に関するお問い合わせ先

(株)MM総研

担 当 : 横田、石塚、藤井

所在地 : 105-0011 東京都港区芝公園2-6-3 芝公園フロントタワー

連絡先 : 03-5777-0161

電話をかけるお問い合わせ

おすすめのプレスリリース