独自サービス型SIM は二半期連続のマイナス成長

国内MVNO市場調査(2021年9月末時点)

2021年12月21日

■2021年9月末の独自サービス型SIMの回線契約数は前年同期比19.3%減の1239.5万回線

■携帯電話(3G、LTE、5G)契約数に占める独自サービス型SIMの比率は1.9ポイント減の6.3%

■2022年3月末の独自サービス型SIMの回線契約数は1255万回線と予想

■スマホ向けは大手通信事業者との競争が激化、IoT用途拡大で再び成長路線を目指す

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は国内MVNO市場の2021年9月末時点での実績を発表した。調査結果によると、独自サービス型SIMの回線契約数は1239.5万回線となり、前年同期比で19.3%減となった。2021年3月末調査に続き二半期連続で前年同期を下回った(データ1)。携帯電話(3G、LTE、5G)契約数に占める独自サービス型SIMの契約数比率は、2020年9月末から1.9ポイント減の6.3%になった(データ2)

2021年9月末時点での独自サービス型SIM市場の事業者シェア1位は「IIJmio」などを提供するインターネットイニシアティブ。IoT用途を含む法人向け回線が好調で、2021年3月末から10万回線以上の純増を記録した。2位はNTTコミュニケーションズ。3位はオプテージだった(データ3)

MM総研では2022年3月末の独自サービス型SIMの回線契約数を1255万回線(前年比0.5%減)と予測する。スマートフォン向け用途では、大手通信事業者(MNO)によるサブブランドの拡販強化、低容量帯向けオンライン専用プランの投入、回線契約を伴わない端末の大幅値下げなどの影響に加え、楽天モバイルのMVNO利用者が楽天MNOなどに移行する動き(マイグレーション)が進むことから純減が続く見込み。一方でIoT向け用途は引き続き大幅な成長が見込まれる(データ4)。

【データ1】 独自サービス型SIMの市場規模

携帯契約数に占める独自サービス型SIM比率は6.3%、サブブランドがシェアを拡大

2021年9月末時点の携帯電話(3G、LTE、5G)契約数は1億9606万回線。独自サービス型SIMの回線契約数は携帯電話市場全体から見ると構成比で6.3%と2020年9月末から1.9ポイント減少した(データ2)※1

総務省が通信事業者間の移行を円滑化する取り組みを進めたものの、大手通信事業者(MNO)の勢いに押され、独自サービス型SIMは二半期連続でマイナス成長となった。UQモバイルによるダブルブランドショップの推進やワイモバイルによるiPhone12の取り扱いなど、MNOによるサブブランドの拡販が進み、2021年9月末時点のサブブランド(Y!mobile + UQ mobile)契約数比率は前年同期の4.3%から5.4%に拡大した。さらに、NTTドコモのオンライン専用プラン「ahamo」が200万回線を突破するなど、MVNOにとっては厳しい市場環境となった。

MVNOの主戦場である低容量帯でも、KDDIの「povo 2.0」やLINEMOの「ミニプラン(3GB)」など、オンライン専用の新プランが相次いで導入されており、MVNOは今後も難しい舵取りを迫られるだろう。

※1.  2020年9月末より楽天モバイルを全体回線数に含め算出し直した。

【データ2】携帯電話(3G、LTE、5G)契約数に占める独自サービス型SIMの契約数比率

インターネットイニシアティブが前回に引き続き1位を獲得

2021年9月末時点で独自サービス型SIM市場の事業者シェア1位は「IIJmio」・「BIC SIM」などを提供するインターネットイニシアティブ。2位は「OCNモバイルONE」などを提供するNTTコミュニケーションズ。3位は「mineo」を提供するオプテージ。以下、4位は「BIGLOBE SIM」などを提供するビッグローブ、5位は楽天モバイルとなった。

シェア1位のインターネットイニシアティブ(IIJ)は、新料金プラン「ギガプラン」の提供で個人向けの獲得が純増に転じた。また、IoTを含む法人分野も順調に回線数を伸ばした。2位のNTTコミュニケーションズは、goo Simsellerを通じたスマホ端末のセット販売が堅調に推移しているほか、フルMVNO基盤を活用したIoT向け回線も好調。ドコモショップでエコノミープランを提供開始するなど今後の動向にも注目が集まる。

3位のオプテージは、データ通信が使い放題となるオプションサービスを強化したものの、サブブランドやオンライン専用プランなどの影響を受け獲得が伸び悩んだ。4位のビッグローブは、2021年7月より社会貢献を打ち出した新ブランド「donedone」を開始。そのほか、ポイント還元キャンペーンを軸に回線数を伸ばした。5位の楽天モバイルは、2020年4月時点でMNO参入と同時にMVNO回線の新規受付を停止。MNOでは2021年9月末時点で500万超の申し込みを獲得しているが、そのうち110万超が自社MVNOからのマイグレーション分と予想される。2021年度も各種キャンペーンにより、MVNOユーザーの他社流出を防ぎつつ自社MNOへの移行に注力している(データ3)

【データ3】独自サービス型SIMの事業者シェア

IoT用途拡大で再び成長路線へ

2022年3月末時点の独自サービス型SIM市場は1255万回線になると予測する(データ4)。大手通信事業者によるサブブランドやオンライン専用プランの拡販強化、楽天によるマイグレーションなどの影響により、スマートフォン用途としての回線数は純減する見込み。ただ、楽天のマイグレーションが一巡した2022年度以降は、再び成長路線に戻ることが期待される。なお、引き続きIoT用途での市場拡大が見込まれ、2024年3月末時点のIoT向け回線比率は半数超の53.3%に達すると予測する。

【データ4】独自サービス型SIM市場予測


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