2020年度の中古スマホ販売台数は過去最高の185万台

「中古スマートフォン市場規模の推移・予測(2021年9月)」

2021年09月14日

■2020年度の中古スマートフォン販売台数は185万台(前年度比13.5%増)で過去最高を記録

■メイン端末としての利用率は新品83.9%に対し、中古スマートフォンは2.5%

■購入金額は中古スマートフォンが24,863円と新品の61,158円に対し半額以下

■スマートフォンの平均売却・下取り金額は14,184円

■2021年度は204万台(10.3%増)、25年度には268万台(7.2%増)と予測


ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称 MMRI、東京都港区、関口和一所長)は9月14日、中古スマートフォンの国内市場規模の推移・予測を発表した。Webアンケートによるユーザー調査と中古端末販売事業者への取材などに基づき、MM総研が推計した。市場規模の算出にあたり、主要な取引チャネルの一つであるオンラインフリーマーケットサービス(以下、フリマサービス)のデータは、中古スマートフォンのECサイト「にこスマ」を運営する伊藤忠商事グループの株式会社Belong(東京都渋谷区、井上大輔代表取締役社長、以下 Belong)のデータを参照した。

2020年度の中古スマホ販売台数は過去最高の185万台

調査結果によると、2020年度の中古スマートフォンの販売台数は過去最高の185万台で前年度比13.5%増となった。大手キャリアやMVNOによる通信料金の引き下げやビジネス利用などでの2台目需要の増加が市場拡大をけん引した。MM総研では、2021 年度の市場規模を204 万台(10.3%増)と予測、その後も拡大基調は続き、2025 年度には268 万台(7.2%増)に拡大する見込みである。

中古スマートフォン販売台数の推移・予測

 

ECやフリマ市場などのオンラインチャネルでの取引が拡大

MM総研では中古スマートフォンの市場規模予測を以下のように更新した。2020 年度実績が185 万台(前年度比13.5%増)で、それ以降は2021 年度:204 万台(10.3%増)、2022 年度:219 万台(7.4%増)、2023 年度:234 万台(6.8%増)、2024 年度:250 万台(6.8%増)、2025 年度:268 万台(7.2%増)と増加傾向が続くと予測する。

市場が拡大するとの予測の要因の一つとして挙げるのは、総務省が推し進めている「SIMロックの原則禁止」による影響。2021年10月1日以降、通信事業者はSIMロックを掛けた状態で端末を販売することが原則禁止となった。端末に紐づいた通信事業者の回線でしか利用できないなどの制約がなくなり、中古スマートフォンの買い取りや販売がスムーズになる。エンドユーザーにとっても中古スマートフォン利用の障壁が下がることが予想される。

端末の買い取りや販売の形式はこれまで店頭がメインとなっていたが、中古端末取扱い事業者の自社ECサイトや外部のECモールを活用したオンライン取引の利用が徐々に高まっている。近年ではフリマサービスを利用した取引も少しずつ伸びており、新たなチャネルとして確立しつつある。Belongが発表した「2020年度(2020年4⽉〜2021年3⽉)中古スマートフォン取引実績調査レポート(フリマ市場)」※1によると、中古スマートフォン取引は2019年度で38.6万件に対し、2020年度は44.1万件で前年度比14.5%増となった。中古スマートフォン市場全体の約23.8%はフリマサービスで取引されたことになる。今後、フリマサービスやECを活用した取引が増えていくことが予想される。

※1:中古スマートフォンの取引件数1件あたり1台と仮定して販売台数を分析(MM総研による)

 

中古スマートフォンのメイン端末としての利用率は2.5%

2021年7月に実施したユーザー調査の結果、現在メインで利用している端末(主端末)を聞いたところ、「新品で購入したスマートフォン」が83.9%で、次いで「新品で購入したフィーチャーフォン」が7.0%。「中古で購入したスマートフォン」が2.5%、「中古で購入したフィーチャーフォン」が0.4%の順となった。新品+中古スマートフォン利用率合計(86.4%)に占める中古スマートフォンの利用率は2.9%となった。中古端末は複数端末を使い分ける際、サブ端末としての利用率が高いことも想定されるが、主端末としての中古スマートフォン利用率は2.5%と低くなった。

現在メインで利用している携帯電話

 

中古スマートフォンの購入金額は24,863円で新品の半分以下

2021年7月に実施したユーザー調査で、中古のスマートフォン利用者に端末の購入金額を聞いた。その結果、回答数の多い順に「わからない」15.2%、「10,000~14,999円」11.5%、「15,000~19,999円」11.0%、「20,000~24,999円」9.9%、となった。加重平均により算出した購入金額※2は24,863円となり、前回調査から968円の増額となった。

比較対象として、新品のスマートフォン利用者に端末の購入金額(実質的な支払総額)を聞いた結果、「わからない」32.3%、「30,000~39,999円」8.7%、「20,000~29,999円」7.6%、「50,000~59,999円」6.6%、となった。高額な新品のスマートフォン購入の際、月賦で端末料金を支払うことが一般的となっている。利用している月額の携帯電話サービス料金と月賦の端末料金を合算して支払うことになるため、結果として「わからない」が多くなったと予想される。また、大手キャリア各社の下取りや端末返却による支払免除のサービスも、実質の端末料金をわかりにくくさせている一因だろう。加重平均により算出した購入金額は61,158円となった。中古スマートフォンと新品スマートフォンの平均購入金額を比較すると、中古スマートフォンは新品の約40.7%と半分以下という結果となった。

 

利用中の中古スマートフォンの購入金額



※2:下記選択肢ごとに設定した係数を掛け合わせた加重平均による算出
「~2,499円」・・・1,250円、「2,500~4,999円」・・・3,750円、「5,000~9,999円」・・・7,500円、「10,000~14,999円」・・・12,500円、「15,000~19,999円」・・・17,500円、「20,000~24,999円」・・・22,500円、「25,000~29,999円」・・・27,500円、「30,000~39,999円」・・・35,000円、「40,000~49,999円」・・・45,000円、「50,000~59,999円」・・・55,000円、「60,000~69,999円」・・・65,000円、「70,000~79,999円」・・・75,000円、「80,000~89,999円」・・・85,000円、「90,000~99,999円」・・・95,000円、「100,000円以上」・・・105,000円

 

直前利用のスマートフォンは「利用せずに家で保管」が最多

現在新品のスマートフォンを利用し、かつ携帯電話回線サービスを契約している利用者に対して、以前に利用していた端末の利用・保存・処分等の状況について聞いた。その結果、「利用せずに家で保管」が40.4%で最多となった。次いで「携帯電話会社の下取りサービス」23.3%、「SIMカードを入れずに利用(Wi-Fi通信で利用する)」8.3%、「その他・わからない」7.1%となった売却・下取りに絞った内訳は「携帯電話会社の下取りサービス」81.1%、「Appleストアで下取り」8.7%、「中古ショップで売却(オンライン含む)」7.6%、「ネットオークション・フリマ系サービスで売却」2.7%と、下取りに比べ売却の件数はいずれも低い結果となった。

前に利用していたスマートフォンの状況

売却・下取り金額は14,184円

直前まで利用していた端末を売却・下取りした利用者に対して、売却・下取りした際の金額やポイントについて聞いた。その結果、「わからない」が53.9%で最多となった。下取りに限れば、前出の端末購入金額の部分と関連しており、結果として「わからない」が多くなったと推測される。次いで「5,000~9,999円」11.6%、「10,000~14,999円」8.1%、「2,500~4,999円」5.8%となった。加重平均により算出した売却・下取り金額※3は14,184円となり、639円の増額となった。

スマホの売却・下取り金額

※3:下記選択肢ごとに設定した係数を掛け合わせた加重平均による算出
「~499円」・・・250円、「500~2,499円」・・・1,500円、「2,500~4,999円」・・・3,750円、「5,000~9,999円」・・・7,500円、「10,000~14,999円」・・・12,500円、「15,000~19,999円」・・・17,500円、「20,000~24,999円」・・・22,500円、「25,000~29,999円」・・・27,500円、「30,000~39,999円」・・・35,000円、「40,000~49,999円」・・・45,000円、「50,000~59,999円」・・・55,000円、「60,000~69,999円」・・・65,000円、「70,000~79,999円」・・・75,000円、「80,000~89,999円」・・・85,000円、「90,000~99,999円」・・・95,000円、「100,000円以上」・・・105,000円


■中古スマートフォンの定義
下記条件を満たすスマートフォン販売台数

① 一度は購入された端末であり、店舗やインターネットを介した売買により取引きされる端末
② 有償・無償を問わず家族・友人・知人間での取引は含まない
③ キャリアモデル、SIM フリーを含む


■調査概要

1. 調査対象:15~69歳の男女
2. 回答件数:24,476人
3. 調査方法:Webアンケート
4. 調査時期:2021年7月

■報道に際しての注意事項
1. 本プレスリリースは、MM総研が実施した市場調査の結果と分析から一部または全部を抜粋したものです。
2. 報道機関が引用する場合は、出典を「MM総研」と明記してください(MMは全角)。数値等は表ではなくグラフ化して掲載してください。
3. 報道機関以外が本プレスリリースの内容を引用・転載する場合は、MM総研による承諾が必要です。
4. MM総研の独自調査結果であり、公的機関の統計や企業の公表数値等と異なることがあります。また、作成時点におけるものであり、今後予告なしに変更されることがあります。
5. 本データを報道以外の以下用途で無断利用することを固く禁じます。
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6. 調査の詳細、研究員コメント、データ利活用などについては、担当者までお問い合わせ下さい。

 
■MM総研について

株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀近くにわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。

 

本件に関するお問い合わせ先

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連絡先 : 03-5777-0161

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