GIGAスクール向け端末メーカーシェアでAppleが首位に
「GIGAスクール構想実現に向けたICT環境整備調査」(メーカーシェア分析)
2021年03月02日
■「GIGAスクール構想」端末の出荷台数ではAppleがメーカーシェア28.1%で首位
■iPad OSを除くWindowsとChrome OS搭載端末内はLenovoがシェア28.1%で首位
ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称 MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、全国1,741すべての自治体への電話ヒアリング等を通じ、GIGAスクール構想で導入される端末のメーカー別出荷台数をまとめた。調査対象の全国1,741の自治体の内、1,514の回答を得た(一部回答を含む)※1。そのうち、端末の調達台数を回答した1,480の自治体ではGIGAスクール構想で調達する端末総数は749万2074台となっている。
WindowsとChrome OS端末内ではLenovoが首位
調査結果から、GIGAスクール構想で導入される端末のメーカー別出荷台数ではAppleのiPadが210万7935台となり、シェア28.1%で首位となった(データ1)。複数メーカーが端末の開発製造に参入しているMicrosoft WindowsとGoogle Chrome OS搭載の端末に限ると出荷台数は538万4139台で、メーカー別シェアでは、Lenovoが151万1356台を出荷し、シェア28.1%で首位となった(データ2)。
※1. MM総研調べ 「GIGAスクール構想実現に向けたICT環境整備調査」(2021年2月16日)参照
【データ1】GIGAスクール調達・導入端末のメーカーシェア(予定含む) (自治体数 n=1,480)
※調査対象1,741の自治体の内、端末の導入状況について回答を得た1,480の自治体を対象としている
総出荷台数のシェア首位はApple、Windows と Chrome OSではLenovoが首位
今回のGIGAスクール向け端末の総出荷台数に占めるメーカーシェアで、AppleのiPadは210万7935台を出荷し、トップシェアとなる28.1%を獲得した。その要因として、横浜市や広島市などで10万台規模の導入があったことに加え、中核市や人口10万人未満の小規模自治体などでも幅広く導入されていることがわかった。小学校低学年や特別支援学級、特別支援学校向けなどで部分的に導入する自治体も目立った。熊本市や豊中市などLTE通信搭載機を主力機種とした大型事例が見られたことも特徴といえる。
参入メーカーが複数あるMicrosoft Windows(以下、Windows)とGoogle Chrome OS(以下、Chrome OS)搭載端末に絞りメーカーシェアを集計すると、Lenovoが151万1356台を出荷し、シェア28.1%でトップシェアとなった。その出荷状況を分析すると、LenovoはChromebookを109自治体、Windowsを127自治体に導入している。Windowsでは神戸市、Chromebookでは札幌市や千葉市で10万台規模の導入事例があった。Chromebookは、セキュリティや運用管理、クラウド活用の観点から大規模自治体で多く支持を得ており、Windowsは既存の資産活用の観点などから比較的人口の少ない地域での採用が多かった。それぞれのOS特性に合わせて全国の顧客ニーズに応えたことが成功の理由と考えられる。
【データ2】WindowsとChrome OSのGIGAスクール調達・導入端末のメーカーシェア(予定含む)
(自治体数 n=1,480)
2位のNECは、107万6292台を出荷し、シェア20.0%を獲得した。これまでWindows PCで教育市場を攻略していたが、今回の調査結果ではChromebookを139自治体に導入し、大きくシェアを伸ばした。NECは2月25日に教育機関向けのクラウドサービス「Open Platform for Education(OPE)」を通じたGIGAスクール構想への対応を発表し、自社の教育クラウド「OPE」の学習者用IDを150万発行(予定含む)と公表した。クラウドに最適化されたChromebookを呼び水に教育向けクラウド事業者の地位を確立できるか注目が集まる。
これまで小中学校向け端末では圧倒的なシェアを持っていた富士通(富士通クラアントコンピューティング)の出荷台数は44万1399台で、WindowsとChrome OS端末内でもシェアは8.2%に留まった。富士通は、国内地域ビジネスを再編し富士通Japanを2020年10月に発足、2021年4月から富士通本体の営業SEも含めて一体化する。2月25日に行われた記者会見で富士通Japanは自治体、医療、中堅民需、文教で圧倒的なシェアを獲得するとしたが、出鼻をくじかれた格好だ。GIGAスクール構想は新型コロナ流行の影響もあり「クラウドシフト」が一気に進んだ。オンプレミスの地域システムで高いシェアを持つ富士通が、今年9月に予定されるデジタル庁の設置で加速が予想される自治体システムの「クラウドシフト」にどう対応するのかにも注目が集まる。
以上
■調査概要
1.調査対象:全国自治体1,741の教育委員会(1,740委員会)
2.回答件数:1,514件、なお端末台数、OS、メーカー(一部)を回答した自治体1480件※
3.調査方法:電話による聞き取り、一部e-mailによる調査票の送付・回収を併用
4.調査時期:2020年11月24日~2021年1月27日 ※2月以降の追加回答2件も集計対象とした
5.回答自治体:1,514自治体の小中学生数は817万4428人
端末数回答自治体1,480の小中学生数は801万2321人
6.端末の定義:調査対象は、令和2年度以降にGIGAスクール構想のための予算で1人1台化を目的に
調達した端末で児童生徒用のほか、予備機や教員の授業用PCも含まれる。
※未回収自治体は、226自治体(教育委員会)で、約140万人の児童生徒数となる。
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■MM総研について
株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀近くにわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。
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