ブロードバンド回線事業者の加入件数調査(2015年3月末時点)

 

2015年05月27日

■ 2014年度のFTTH純増数は133.0万件と前年度を下回る
■ 光コラボのシェアは1.0%にとどまる
■ FTTH市場は2018年度中に3,000万件を超える見込み

 MM総研(東京都港区、所長・中島 洋)は5月27日、2015年3月末のブロードバンド回線事業者の加入件数調査結果を発表した。2015年3月末時点のFTTH(光回線サービス)の加入件数は2,664.7万件で、2014年度(2014年4月~2015年3月)の年間で133.0万件増加した(伸び率は5.3%)。一方、2013年度と比較して年間純増数は9.5%減少した。スマートフォンをはじめとする高速モバイル通信の普及拡大や固定ブロードバンドの普及率の高まりに伴い、FTTH加入者の純増数および市場成長率は年々鈍化している。NTT東西が提供する光回線のサービス卸(光コラボレーションモデル)については、2015年2月以降の開始となったため、2014年度の加入状況に与える影響は限定的だった。
 2015年度についても、光コラボレーションモデルは既存のFTTH利用者の転用(サービス変更)を促すものの、新規需要創出への貢献は少なく、2015年度末のFTTH契約者数は2,774万件(年間純増数109万件・伸び率4.1%)を予測する。

<光回線サービス事業者の動向>

光コラボのシェアは1.0%にとどまる



 NTTの光回線(フレッツ光および光コラボレーション)は、2015年3月末の東西合計の加入件数が1,871.6万件で、FTTH市場におけるシェアは合わせて70.2%。2014年3月末から0.9ポイント減少した。

 NTT東日本は2014年7月より最大通信速度1Gbpsのサービスを開始。キャンペーンなどと併せて展開を進めたものの新規顧客獲得のペースが落ち、年間純増数は21.5万件(前年度は43.7万件)にとどまった。2015年3月末の契約数は1,040.3万件(シェア39.0%)で、そのうち光コラボレーションの契約数は19.0万件だった。

 NTT西日本は、長期利用割引施策を継続的に展開し、2015年3月末の契約数は831.3万件(シェア31.2%)となった。年間純増数は45.0万件で前年度の31.3万件を上回った。光コラボレーションの契約数は2015年3月末で8.0万件だった。

  NTT東西が推進する光コラボレーションモデルは、オペレーション体制構築の遅れやユーザー認知が想定ほど高まらなかったことなどを背景に出足が鈍かった。2015年3月末の合計契約件数は27.0万件(市場全体の1.0%)で、そのうち転用(サービス変更)が25万件と新規需要創出へのインパクトは薄かったが、今年度は通信事業者以外の新規事業者の参入も促し、既存サービスの「フレッツ光」と合わせて年間60万件の純増をめざす。

 「auひかり」などを提供するKDDIグループは、光回線と携帯電話のセット割引「auスマートバリュー」により新規獲得と解約抑止を継続。同セット割引の従来型携帯電話への適用追加や割引額の拡大、3年間の継続利用を条件に段階的に月額料金を割り引く新プラン「ずっとギガ得プラン」の開始などにより、シェアが拡大。2015年3月末で348.5万件(シェア13.1%)となった。

 関西地域を中心に「eo光」を展開するケイ・オプティコムは、既存の料金施策の展開のほか、新規加入で最大1年間月額料金を2,000円割り引く「スーパースタート割」などで顧客の獲得を進め、2015年3月末で152.8万件(シェア5.7%)となった。2015年度末は156.6万件をめざす。2014年6月からKDDIの回線を利用して提供を開始した低価格SIM・格安スマホの「mineo(マイネオ)」も堅調に推移し、2015年3月末6.0万件となった。

 マンション全戸一括加入型の光回線サービス最大手のアルテリア・ネットワークスは、2015年3月末57.9万件(シェア2.2%)となった。首都圏のマンションを中心に全戸一括加入型サービス「UCOM光 レジデンス」や任意加入型「spaaqs光」などの受注増加により、契約数を伸ばした。マンションの各住戸への構内配線に光ファイバーを採用する「マンション全戸オールギガ光配線タイプ」や収納サービスをセットで提供する「UCOM光 with minikura」など、新規サービスの展開で顧客を増やす。

<ISP事業者の動向>

So-netのシェアがBIGLOBEに迫る

 2015年3月末のISP事業者のFTTH契約数シェアでは、OCNが首位だった。シェアをやや落としたものの、依然として2位以下に大きく差をつけている。
 2位のYahoo! BB(SoftBank光含む)は、家電量販店での販売を中心に顧客獲得を進め、シェアの拡大が続いている。2015年2月から開始した「SoftBank光」の販売も一部純増に貢献した。
 BIGLOBE はシェア3位を守った。4位のSo-netは自社構築の「NURO光」をはじめとするマルチキャリア対応により積極的に顧客を獲得し、シェアが拡大。BIGLOBEに並ぶ規模に迫った。
 ISP各社はNTTの光コラボレーションモデルを活用して、自社ブランドの光サービスへの転用を開始した。光回線とモバイルサービスなどのセット提供により、顧客の囲い込みを一層進める。





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