音声翻訳専用機の世界出荷台数調査

市場急拡大、2021年には520万台へ

2019年12月10日

■ 2019年12月までの世界累計出荷見込は230万台、17年末から9倍増と市場急拡大
■ 日本のソースネクストが累計出荷台数68万台(シェア31.1%)で世界1位
■ 翻訳精度の向上や海外渡航者数の増加が市場をけん引、2021年末に520万台に拡大へ

 MM総研(東京都・港区、所長・関口 和一)は12月10日、主要メーカーへのヒアリング調査等をもとに実施した音声翻訳専用機の世界市場規模及びメーカー別シェアを発表した。調査結果では、2019年12月末時点の音声翻訳専用機の世界累計出荷台数※は前年同期時点の実績の約2倍となる230万台の見込みである。2017年12月末時点の25.8万台からは9倍と市場は急拡大している。

 背景には音声翻訳機の性能が大幅に向上している点が挙げられる。特に、AI技術の活用による音声認識や翻訳精度の向上、4G/Wi-Fiなどの高速モバイル通信環境が世界的にも整備されたことで翻訳速度が大幅に向上したことが大きい。世界規模での海外旅行者数の増加に加え、ホテル、観光地など外国人観光客を受け入れる側のツールとしてのニーズの高まりもけん引している。日本ではラグビーワールドカップ大会に多くの外国人が来日し、インバウンド消費に盛り上がりを見せた。MM総研では2020年の東京五輪や2022年の北京・冬季五輪を控えたアジアを中心に、市場は拡大を続け、2021年末の世界累計出荷台数は520万台に達すると予測する。
 メーカー別シェアは2019年11月末時点の世界累計出荷台数(219万台)をベースに取りまとめた。調査結果では、日本のソースネクストが累計出荷台数68万台、世界シェアは31.1%でNo.1となった。2位は中国を代表するAI企業のiFlytekの67.5万台(シェア30.8%)。2社で市場の約62%を占める。オランダのベンチャー企業であるTravisが20.3万台(9.3%)で3位となった。参入メーカーは年々増加しており、特に中国系メーカーの社数は二ケタに達している。

※工場出荷ベースの台数で算出。また、メーカーブランドによる出荷を各社シェアの対象とし、他社ブランドのOEM出荷分は含まない。

 

 

 

 

 専用機としての総合力をいかに高めるかが成長のカギ

 累計出荷台数シェアで4位以下は中国系のメーカーを中心に30社~40社がしのぎをけずっている。音声翻訳機の市場は成長途上にあり、今後も参入を検討するメーカーが出てくるものと見られる。最大のマーケットである中国市場ではすでにメーカー間の競争が激しくなっており、今後、脱落するメーカーも出てくる可能性もある。

 専用デバイスとしての完成度やユーザーの利便性を高める付加価値機能などでいかに差別化を図っていくかが市場での生き残りのカギとなる。音声翻訳ではスマートフォンアプリの性能向上も急速に進んでいる。その中で、専用デバイスとしての利用価値をどう提供していくのか。特に音声翻訳機を利用するユーザーにとっては、翻訳精度や翻訳速度が重要なカギとなる。これを左右するのが音声集音能力、音声認識能力、翻訳能力、音声合成能力である。この総合力が問われることになる。音声認識や翻訳ではAI技術の活用が進んでおり、音声翻訳専用機はAIの技術力を競う市場と位置付けることもできるだろう。

 国連世界観光機関(UNWTO)が発表した最新の世界観光統計によると、2018年の海外旅行者総数は前年比6%増で推定14億人に達するという。日本政府も2020年までに訪日外国人を年間4000万人まで増やすことを目標に掲げている。世界的な統計からも海外旅行者は増加を続けており、これを受け入れる側のツールとしてのニーズも引き続き拡大していくものと見られる。MM総研では、2020年12月末の音声翻訳専用機の累計出荷台数を365万、2021年12月末には520万台に到達するものと予測する。

 

 


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