パソコン導入におけるDaaS (デバイス アズ ア サービス) の 利用意向及び普及予測調査

国内中堅中小企業 2,850社を対象に調査を実施

2019年02月06日

MM総研は2019年2月6日、国内中堅中小企業(SMB)を対象に、パソコンを所有せずに月額課金形式で利用するDevice as a Service(DaaS)の利用意向に関する調査結果をまとめた。

 調査結果から、SMBがPC入れ替え時にデータ移行や機器選定などで多くの課題に直面するなかで、その解決策の一つとして注目されるDaaSの利用意向が67%に達していることが判明した。DaaSはパソコンの導入から運用までを一元的に管理してくれる月額課金型のサービスだ。常に最新の機能を利用できるだけでなく、ハードウェアの管理やサポートなどの業務負担も軽減してくれる。MM総研の試算では2018年12月時点で、法人パソコンの稼働台数に占めるDaaSの利用率は3.3%だが、2020年12月には30.2%まで急拡大する見込みだ。働き方改革やクラウド利用が広がる中で、パソコンの所有・利用の在り方を見直す動きが加速している。

PC入れ替え時の課題としてハードなどの“選定”が上位に挙がる

 今回の調査では、国内のSMB2,850社に対しWebアンケートを実施。パソコンの所有台数、購入方法、買い替えサイクル、利用OSの状況、DaaSの利用意向などを幅広く聴取した。2020年1月にWindows 7のサポート終了が予定されている中で、パソコン入れ替え時の課題についても複数回答で確認した(データ1)。最も回答が多かったのが「新しいパソコンへのデータ移行」で49.3%、次いで「ハードウェア選定」が42.2%、「OS・ソフトウェア・アプリケーションの選定」(35.8%)となった。回答傾向としては、特に手間がかかるデータ移行やセットアップ作業に加えて、ハードなど“選定”に関わる課題が上位に挙がっている(データ1)。

 

【データ1】 PCの入れ替え時の課題(複数回答) N=2,850


※回答率 25%以上の課題を上記に掲載

 パソコンは欠かすことのできない業務ツールであり、生産性向上の観点からみても、モバイルパソコン(どこでも働ける環境の整備と情報共有の強化)や、高性能パソコン(業務自動化、研究開発などの高度化、AIの開発と業務活用)など目的に沿った機器の選定が重要になっている。また「設置時のネットワーク接続やセットアップ」(33.2%)、「使用済みパソコンの廃棄」(29.6%)や「ハードディスク情報の消去」(29.1%)など課題となる項目は多様化している。これら一連の課題がパソコン環境の整備にかかる“見えないコスト”としてSMBの負担となっている。

DaaS利用意向は67%

 そこで、MM総研は国内中堅中小企業を対象に、これらの課題軽減につながるソリューションとして、「Device as a Service(DaaS)」に注目した。DaaSは、パソコンを所有せずに、月額課金形式で利用するサービス。資産計上をせずに経費処理(オフバランス)できるメリットがある。レンタル等の従来手法との違いはデバイスをOfficeソフト、セキュリティやID管理等のサービスと一緒に一元的に調達できる点にある。特徴・メリットとしては下記①~⑤が挙げられる。

①常に最新のOffice製品ライセンスが利用可能で、最新機能を利用できる。
②新デバイスの配布時に、個人設定、アプリ配布、データ移行などの環境移行が自動でできる。
③クラウドによるID運用とスマホ管理ソリューションによって、データ流出の防止とアプリの管理ができる
④侵入検知ソリューションでランサムウェア、標的型攻撃など、サイバー攻撃への対処ができる
⑤GDPR対応のデータ暗号化や監査機能の導入で、法令違反に該当するリスクを減らせる

今回、DaaSの利用意向についてもWebアンケートで確認した。結果は「利用したい」「金額次第では利用してもよい」を合わせたDaaS支持ユーザーは合計で67%となった。また、調査結果では、総じて支払ってもよい月額の金額帯を6,000円~8,000円/台と考えているユーザーが多いことも判明した。

 

【データ2】 DaaSの利用意向   N=2,850

 

DaaSを利用したい時期、内容、支出可能な金額帯を複合的に確認する中で、2022年までにDaaSによるPC利用がどの程度まで拡大にするについてもまとめた(データ3)。Webアンケートに回答した2,850社の導入済みパソコンは合計で54万4,108台となった。この内、すでにDaaSのシェアは、2018年12月時点で3.3%(1万7,777台)であった。だが、今後の利用意向と導入時期などを分析すると、DaaSのシェアは今後急速に立ち上がる見込みだ。2019年7月~9月期にはシェアは10%を超え、2019年12月時点で24.2%(13万1,052台)に拡大。2020年12月にはシェアは30.2%(16万9,959台)にまで拡大する可能性があることが明らかとなった。

 

【データ3】法人PC稼働台数に占めるDaaSのシェア(予測) ※Webアンケート上のPC稼働台数


※ DaaS・・・Device as a Service。法人ユーザーに月額課金形式でパソコンをレンタルする 

コンピュータリソースの戦略活用の時代

働き方改革を支える重要なツールであるパソコンやスマートデバイスは半導体、ソフトウェアの進化により高性能化、低価格化が進んでいる。多くの企業が当たり前のように利活用をする時代になる中で、スマートフォンなどを含めてみても機器・性能の上昇、価格の低廉化は踊り場にさしかかっている。一方、これらの技術を元に、クラウドのビジネスモデルが生まれ、ネットワークの高速大容量化とともに、多くのユーザーがソフトウェアやコンピュータリソースをより戦略的に活用できる時代に突入した。

MM総研では国内ユーザーのICT導入において、上記を念頭にTCOを最適化し、技術を最大限活用する方法論を国内のユーザー、事業者とともに研究し続けていく方針である。

 

 

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※ SMB ・・・国内に拠点を持ち、従業員数が1名~999名の法人を指す
※ DaaS・・・Device as a Service。法人ユーザーに月額課金形式でパソコンをレンタルするサービスを指す。クラウド経由で常に最新のデスクトップ環境などが利用できるなどのサービスを含む

 ■調査概要
【調査方法】 WEBアンケート調査(本調査:2,850件)
【調査時期】 2018年7月
【聴取対象】
① 国内に拠点を持つ従業員数が1名~999名の法人
② パソコン(2in1PC含む)を導入している
③ IT製品及びソリューション導入にあたって決裁権もしくは選定権を有する
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■MM総研について
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