MVNOネットワーク品質調査結果

「回線スピード」に代わる新測定基準を導入

2018年01月30日

■ 今回調査で、通信速度以外の測定基準として「体感速度」や「ギガ消費」を導入

■ 昼の動画視聴は調査対象全10サービスのうち9サービスが遅延なく視聴可能

■ 動画視聴時のギガ消費を抑え、コストパフォーマンスが高いのはBIGLOBEモバイル、DMMモバイル、IIJmio

 MM総研(東京都港区、所長・中島 洋)は1月30日、国内におけるMVNOの独自サービス型SIMの主要10事業者を対象にネットワーク品質に関する調査を実施し、結果を発表した。
 調査は2017年11月29日(水)の8時30分前後、12時30分前後、19時30分前後の計3回。なお調査には富士通製SIMフリースマートフォン「arrows M04」をSIMと同数台使用し、ほぼ同時に調査を実施した。
 多くの事業者が独自サービス型SIMを提供しており、ユーザーはどのMVNOを選択すればよいのか頭を悩ますのが実態だ。MVNO選定の際の有力基準として通信速度がある。MVNOが浸透してきたことにより「混雑時の速度低下はやむをえない」とするユーザーの理解も広まりつつある。そのような中、MVNOサービスの関連業界からは「速度が速いというだけで評価してよいのだろうか」との声も高まってきた。実際、速度が出ていても動画視聴をした際に遅延や停止が発生するなど快適に視聴できない場合もある。また、高品質のため不必要にデータ通信量を消費するなどギガの“無駄遣い”をしている可能性がある。そこで今回の調査に当たりMM総研は以下のアプローチで回線品質を評価した。

 ① 動画の遅延状況(動画再生時の遅延、動画再生途中での停止)
 ② 動画視聴時のデータ消費量
 ③ Web閲覧の快適さ

スムーズな動画視聴が可能

 まず、動画視聴で再生遅延の有無、再生停止の有無、再生時の画質を調査した。YouTubeアプリで4分10秒の動画を再生し終了時点の時間を計測する。これにより通信速度比較ではわからない使用時の快適さが評価できる。
 時間帯によっては、一部の事業者は遅延が生じたが、全ての時間帯で再生遅延や途中停止がなくスムーズに視聴できたMVNOサービスは、IIJmio、mineo(Aプラン)、UQモバイル、BIGLOBEモバイル、DMMモバイル、NifMo、LINEモバイルと今回調査10サービスのうち7サービスが動画再生で遅延・途中停止がないという結果となった(図表1)。
 しかし、各サービスで動画再生時の画質に変化がみられた。YouTube動画では再生途中もネットワーク状況等により画質が変化する。スマートフォンでの動画視聴では、画質が144pだと小さな文字は読み取ることが難しいが、240p以上であれば何とか読み取ることが出来る。9サービスの事業者が240p以上を維持する結果となった(図表2)。

動画視聴は高画質によりギガ消費も大きく

 次に、動画視聴時にザッピングを行い各社のギガ消費に関しても調査した。4分10秒の動画を3本用意しストリーミング再生。30秒再生時点で2本目の動画を視聴し、さらに30秒再生時点で3本目の動画を視聴するという計測方法で計測した。
 動画遅延によりデータ消費が少なくなることを考慮し、動画視聴時に遅延が生じなかったMVNOサービスを比較するとBIGLOBEモバイルの朝昼夜のデータ消費量合計が117MBと最も少なくコストパフォーマンスに優れていた。次いでDMMモバイルの167MB、IIJmioの178MBであった(図表1)。

Webサイトは各社ともスムーズに閲覧可能

 また、混雑時Webサイト表示が遅くなるのか、Webサイト閲覧による表示状況を調査した。MM総研ホームページを表示後弊社リリースへ遷移させる。各社3回の時間帯ともにスクロールやページ遷移などスムーズに閲覧できた。

 ※各調査とも調査前に履歴、キャッシュを削除し計測している。

速度はUQモバイルが圧倒的速さ

 合わせて行った速度調査ではUQモバイルがすべての時間帯において10Mbps以上でトップとなった。最も混んでいるお昼の時間帯では、UQモバイルが10.11Mbps、楽天モバイルが4.53Mbps、BIGLOBEモバイルが3.16Mbpsという結果となった(図表1)。

MVNOサービスの実態を示す「通信品質」とは

 今回調査では、回線スピード以外の評価指標を採用した。MVNOはMNOから回線を借りてサービスを提供しており、限られた帯域の中でコントロールする必要がある。そのため、技術によってネットワーク品質を維持している事業者を評価するべきではないか、との判断からだ。
 スマホでの動画視聴は、画質が144pだと、小さな文字は読みづらいが、240p、360pでは読めるレベルまで上昇する。それより高画質の480p、720pを維持する事業者も存在するが、ギガ消費量が多いというデメリットもある。ギガ消費が大きければ、月末に通信制限される可能性も増し、ユーザー不満にもつながる。「最高画質でギガ消費も大きい事業者」か、「充分画質でギガ消費が少ない事業者」のどちらを選ぶかーー。コストパフォーマンスも考慮することでユーザーの選択肢は広がるだろう。
 ネットワークのスループットをモニタリングし先のスループットを予測する技術や、端末バッファ残量を把握する技術を導入事業者も増えつつある。これらの新技術を使えば配信流量を動的に制御できる、無駄なデータ通信を減らしつつスムーズな動画再生が可能だ。
 今後MM総研では、実際に利用した際の『快適さ』を比較する指標を策定していく。

 ※スループット:通信回線におけるデータ転送能力

 

 

         【図表2】動画視聴時の画質の変化推移
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   

  
調査概要
調査期間:2017年11月29日(水)
調査時間:8時~9時、12時~13時、19時~20時
調査場所:東京都港区
調査SIM:IIJ mio、OCNモバイルONE、UQモバイル、楽天モバイル、mineo(Aプラン)、
     mineo(Dプラン)、BIGLOBEモバイル、DMMモバイル、NifMo、LINEモバイル
調査端末:富士通製SIMフリースマートフォン「arrows M04」
動画視聴:「YouTube」アプリで4:10の動画を視聴
ザッピング:「YouTube」アプリで4:10の動画を30秒再生後、別の4:10動画を30秒再生、さらに別の
      4:10動画を30秒再生しデータ使用量を計測(計測前にキャッシュ、履歴は削除)
Web閲覧:ChromeにてMM総研ホームページを閲覧
速度調査:「Speedtest by Ookla」アプリを使用し3回の平均値

 


■注意事項
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2. 報道機関が引用する場合は、出典を「MM総研」と明記してください(MMは全角)。数値等は表ではなくグラフ化して掲載してください。
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■MM総研について
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