中古携帯端末の利用実態と市場規模(2017年10月調査)
中古スマホ、購入金額は16,585円、売却は10,062円
2017年10月19日
■ 中古スマートフォン購入経験率は4.3%
■ スマートフォンの下取り・売却経験者は約10人に1人
■ 中古スマートフォンの購入金額は16,585円、スマートフォンの売却金額は10,062円
■ 退蔵携帯電話(FP+SP)台数は1億7,607万台、市場価値は1兆2,080億円と試算
■ 2016年度の中古携帯電話市場は191万台、うちスマートフォンは158万台
■ 2020年度の中古携帯電話市場は245万台、うちスマートフォンは231万台に拡大と予測
MM総研(東京都港区、所長・中島 洋)はWEBアンケートによるユーザー調査と中古端末販売事業者への取材および独自に分析する端末出荷台数・契約数を基にした、中古端末の利用実態と市場規模の推移・予測を発表した。
中古スマートフォン購入経験率は4.3%
2017年9月に実施したユーザー調査の結果、中古フィーチャーフォンの購入経験は3.5%、中古スマートフォンの購入経験は4.3%、中古タブレットの購入経験は3.1%で、それぞれ5%未満の低い購入経験となった。
中古端末の購入経験者に対して、中古端末を購入した理由を聞いた。その結果、1位:「価格が安い(お得)」 37.6%、2位:「自分にとって必要な機能が備わっているから」 18.4%、3位:「2年間利用の前提がなく、契約期間に縛られることなく利用しやすいから」「見た目が新品と大差ないから」がともに13.8% となった。
MNOで新品の端末を購入する際と比較して、契約期間に縛られずに安価に利用できる点や、中古端末とはいえ、見た目が新品同様であることや自分の利用方法において必要十分な機能が備わっている点が評価されているようだ。
また、中古端末の非購入経験者に対して、購入しなかった理由を聞いた。その結果、1位:「中古端末が売られていることを知らない」 31.6%、2位:「前の利用者が不明だから」 18.6%、3位:「中古端末を生理的に受け付けないから」 17.5%となった。
中古端末が売られていることに対する認知度の低さや、誰かが使った端末に対するネガティブなイメージが非購入につながっているようだ。
スマートフォンの下取り・売却経験者は約10人に1人
これまで利用していた端末を、携帯電話会社や中古業者に下取りや売却した経験の有無を聞いた。その結果、下取り・売却経験はフィーチャーフォン7.3%、スマートフォン9.4%、タブレット3.4%で、それぞれ10%未満となった。その中でもスマートフォンは約10人に1人は下取り・売却の経験があることがわかった。
下取り・売却の非経験者に対して、下取り・売却したことがない理由を聞いた。その結果、1位「売却・下取りできることを知らなかったから」 40.0%、2位「セキュリティが心配(個人情報やデータ流出)」 21.2%、3位「必要なデータが保存されているから」 16.3%となった。売却・下取りサービスに対する認知度の低さと、端末に保存されているデータに対する意識が主な要因となっている傾向がうかがえる。
中古スマートフォンの購入金額は16,585円、スマートフォンの下取り・売却金額は10,062円
中古端末の購入金額について分析した結果、平均は中古フィーチャーフォン9,892円、中古スマートフォン16,585円、中古タブレット16,930円となった。
同じく端末の下取り・売却金額について分析した結果、平均はフィーチャーフォン 4,877円、スマートフォン 10,062円、タブレット 8,079円となった。
購入意向が高い中古端末はスマートフォンで10.4%
現在の所有端末や中古端末の購入経験に関係なく、今後の中古端末購入意向を質問した結果、中古フィーチャーフォンでは「購入してみたい」 2.0%、「検討してみたい」 4.2%と合わせて6.2%が購入意向を示した。同様に中古スマートフォンでは「購入してみたい」 3.8%、「検討してみたい」 6.6%と合わせて10.4%、中古タブレットでは「購入してみたい」 2.8%、「検討してみたい」 6.8%と合わせて9.6%が購入意向を示した。
中古スマートフォンの購入意向の理由として最も多かったのは「価格が安い」、反対に購入したくない理由として最も多かったのは「前の所有者が不明だから」となった。
現在所有している端末種類別の今後の下取り・売却意向を質問した結果、フィーチャーフォンが「利用してみたい」 10.5%、「検討してみたい」 30.7%と合わせて41.2%が下取り・売却意向を示した。同様にスマートフォンは「利用してみたい」 20.2%、「検討してみたい」 31.6%と合わせて51.8%、タブレットは「利用してみたい」 29.8%、「検討してみたい」 33.6%と合わせて63.4%が下取り・売却意向を示した。
スマートフォン利用者の下取り・売却意向の理由として最も多かったのは「現金や現金に相当するポイントもしくは購入端末の値引きがあるから」、反対に下取り・売却したくない理由として最も多かったのは「セキュリティが心配だから」となった。
退蔵携帯電話(FP+SP)の台数は1億7,607万台、市場価値は1兆2,080億円と試算
MM総研では、個人名義で以前利用していたが新機種の購入などにより現在利用せず自宅で保管している「退蔵端末」の台数および市場価値をユーザー調査に基づき分析した。その結果、退蔵台数はフィーチャーフォン 1億870万台、スマートフォン6,737万台、タブレット1,059万台となった。退蔵台数に平均下取り・売却金額を掛け合わせた退蔵端末の市場価値をフィーチャーフォン5,301億円、スマートフォン6,779億円、タブレット856億円と試算した。
フィーチャーフォンとスマートフォンを合計した「退蔵携帯電話」は1億7,607万台で市場価値は1兆2,080億円。「退蔵携帯電話」に「退蔵タブレット」を加えた「退蔵端末」では1億8,666万台で市場価値は1兆2,936億円となった。
ただし、上記試算は退蔵されている端末が下取り・売却したユーザーの平均金額と同額で取引されると仮定した場合の市場価値となる。古いフィーチャーフォンは周波数等の関係で現在は利用できない端末も存在する。その他、故障などにより実際には利用できない端末も一定数含まれていることが想定され、実際の市場価値は上記よりも低くなる可能性がある点に留意する必要がある。
2016年度の中古携帯電話市場は191万台、2020年度には245万台に拡大
MM総研では、2016年度の中古フィーチャーフォン(FP)市場は33万台(前年度比34.0%減)、中古スマートフォン(SP)市場は158万台(13.7%増)。合わせた中古携帯電話市場を191万台(1.1%増)と推計した。2017年度の中古携帯電話市場は206万台(うちスマートフォン179万台)で前年度比7.9%増と予測。2020年度には245万台(うちスマートフォン231万台)と予測する。
タブレットを含めた2016年度中古端末市場は238万台。2020年度には308万台に拡大
MM総研では、2016年度の中古タブレット市場は47万台(9.6%減)で、中古携帯電話市場に中古タブレットを含めた中古端末市場を238万台(1.2%減)と推計した。2017年度の中古タブレット市場は50万台(6.4%増)で中古端末市場は256万台、2020年度の中古タブレット市場は63万台で中古端末市場は308万台に拡大すると予測する。
中古スマートフォン市場が伸び悩んでいる理由として①MNOによるスマートフォン下取り施策(一部メーカーも下取り実施) ②SIMロックフリースマートフォンの台頭 ③ユーザーの中古端末に対する認知不足――の3点であると分析する。特にMNOによって下取りされたスマートフォンは国内で中古販売されている様子は伺えず、中古端末販売事業者にとっては最大の競合相手となっていると言えそうだ。
昨今ではMVNO SIMカードとSIMフリースマートフォンを組み合わせて利用するユーザーが急増しており、MVNO SIM契約数の拡大と相まって今後も更なる拡大が見込まれる。そうした市場環境の中でも、中古スマートフォンにも更なるポテンシャルがあるだろう。新品よりもリーズナブルな価格で一括購入も比較的容易なこと、挿入するSIMカードの種類や自分の利用方法に適した端末を柔軟に選択できるメリットは大きい。通話専用やデータ通信専用などの2台目需要としても期待できる。
中古スマートフォン市場規模拡大のポイントは、まずは購入端末の選択肢として比較対象の土俵にあげるユーザー数を増やすことが重要であり、各社の取り組みと競争環境の整備にも注目される。
【アンケート集計結果および市場規模レポートを2017年11月に発行】
【中古携帯電話/中古端末の定義】 下記条件を満たす中古販売台数
●一度他人が購入した端末であり、店舗やインターネットを介した売買により購入者が日本で利用する端末
●有償・無償を問わず家族・友人・知人間の取引きは含まない
●端末種類はフィーチャーフォン(FP)、スマートフォン(SP)、タブレット(TB)、
キャリアモデル(FP・SP・TB)、SIMフリー(SP・TB)、Wi-Fi(TB)を含む
●国内で販売される端末のみを含む(海外からの輸入端末等は含まない)
「中古携帯電話」=「中古FP」+「中古SP」
「中古端末」=「中古FP」+「中古SP」+「中古TB」
■ ユーザー調査概要
【調査方法】 WEBアンケート調査(プレ調査:21,811件/本調査:1,636件)
【調査時期】 2017年9月
■注意事項
1. 本プレスリリースは、MM総研が実施した市場調査の結果と分析から一部または全部を抜粋したものです。
2. 報道機関が引用する場合は、出典を「MM総研」と明記してください(MMは全角)。数値等は表ではなくグラフ化して掲載してください。
3. 報道機関以外が本プレスリリースの内容を引用・転載する場合は、MM総研による承諾が必要です。
4. MM総研の独自調査結果であり、公的機関の統計や企業の公表数値等と異なることがあります。また、データ・資料は、作成時点におけるものであり、今後予告なしに変更されることがあります。
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■MM総研について
株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀にわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。
本件に関するお問い合わせ先
(株)MM総研
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