2012年国内パソコン出荷概要

2013年02月14日

■出荷台数は増加 ―過去2番目の台数を記録
■低価格競争が激化 ―出荷金額が二ケタの減少
■個人市場が6年振りの出荷減 ―タブレット製品との競合進む

 

出荷台数  1521.2万台    前年比 2.7%増

 

出荷金額  1兆71億円   前年比 13.7%減




 株式会社MM総研(本社:東京都港区、所長・中島洋)は2月14日、2012年暦年(12年1月~12月)の国内パソコン出荷実績を調査、結果を発表した。それによると、国内出荷台数は前年比2.7%増の1,520.7万台となった。過去最高を記録した2010年(1527.1万台)には及ばなかったものの、総出荷台数は95年の調査開始以降、過去2番目の規模となった。一方、出荷金額は個人市場でのタブレットとの競合や法人市場での低価格製品要求が高まったことから前年比13.7%減の1兆71億円、平均単価は6.6万円と前年から1.3万円の減少となった。

 個人・法人別に市場動向を見ると、個人市場向けの出荷ルートである「個人系ルート」は、前年比3.9%減の742.5万台を出荷。企業・官公庁向けのメーカー直販と販売店販売を合計した「法人系ルート」は前年比9.9%増の778.7万台となった。個人向けでは、急速に拡大が続くスマートフォンや、年後半に話題となった7インチタブレットとの競合が進んだことから台数が減少した。一方、法人向けでは年前半は厳しい経済環境が続いていたものの、WindowsXPからWindows7へのリプレースニーズが顕在化しており、買い替え需要が活性化してプラス成長となった。

 メーカーシェアはNECレノボがシェア26.2%で首位となった。2位以下の各メーカーも含めランキング対象メーカーに順位変動はなかった。前年比伸び率ではアップルが106.8%とランキングメーカー中最も高い結果となった。個人向けでは東芝が順位をひとつ上げ3位から2位となった。法人向けでは、順位変動はなかったが富士通が前年比121.3%と最も高い成長となった。


■市場動向

 個人市場向けの出荷ルートである「個人系ルート」は、前年比3.9%減の742.5万台。2006年以来6年振りの出荷台数減となった。年前半は新OSであるWindows8の買い控え影響もあったと見ているが、新OSであるWindows8が登場した2012年10-12月期の出荷台数前年比も87.5%と振るわなかった。特に年末商戦期にあわせ、AndroidやiOSを搭載した7インチの低価格タブレットが登場したことで、タッチ機能を前面に押し出したWindows8搭載パソコンがこれらのタブレットと競合し、結果的に低価格タブレットに顧客が流出したと見ている。

 企業市場向けの出荷チャネルである「法人系ルート」は、前年比9.9%増の778.7万台と増加した。ユーザー内では2013年度末にサポートが終了予定である現行OSの3代前のWindowsXPからWindows7への更新需要が市場拡大を後押ししている。この需要は2013年度中も続くと見られる。


■メーカー動向 

 メーカーシェアは、NECレノボがシェアポイントを0.5ポイント増やし26.2%で首位。個人向け、法人向けともにプラス成長となった。2位富士通は、個人向けルートで苦戦したが、法人向けではランキングメーカー中最も高い前年伸長率となった。国内に生産拠点を持つ強みを活かし、法人向けを主体とするBTO需要の獲得を強化している。3位の東芝は個人向け出荷でシェアランキングをひとつあげて2位となった。富士通とは対照的にボリューム型の店頭量販店向けのビジネスを拡大している。日本HPは前年の5位から4位に順位をひとつ上げた。また、ランキングメーカーの中で最も高い伸び率となったのは2年連続でアップルとなった。前年比伸長率は、6.8%増と伸び率は鈍化しているが、前年を割り込んだ個人市場を主戦場としながらも、成長を維持している。

 

■2013年の展望 ~市場規模は前年比2.2%減の1,487万台を予測

 13年の国内パソコン市場は、個人市場は前年比7.5%減の687万台。法人市場は2.7%増の800万台、全体では前年比2.3%減の1,487万台を見込む。MM総研は低価格タブレットとWindowsタブレットを含むパソコン市場は中長期的にはユーザーが用途に応じて端末を使い分けることですみ分けると分析しているが短期的には食い合い現象が起こり、13年の個人パソコン市場は低調な状況が続くと見ている。

 2012年の年初に12年通期は「タブレットとPCの本格競争が始まる1年」と位置付けたが、13年は特に個人市場において7インチの低価格タブレットに奪われた需要をどのように取り返すかというパソコン陣営の巻き返し戦略に注目が集まる。


(調査レポート全文は2月末発行のM&Dレポート201号に掲載します)


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