スマートフォンの修理サービス利用実態調査

第三者修理(街の修理店)の利用率は2.2%も、店舗数は増加

2017年09月28日

■スマートフォン故障経験者の内、修理サービス利用者は70.1%

■第三者修理(街の修理店)の利用者は2.2%も、修理店舗数は増加傾向

■登録修理業者の認知度は5.3%、利用者メリット等の訴求強化が課題

 MM総研(東京都・港区、所長・中島 洋)は、スマートフォンユーザー12,451人を対象にWebアンケート調査を実施し、スマートフォンが故障した際の修理サービスの利用実態をまとめた。調査結果から、故障経験を持つユーザー3,949人の内、修理サービスの利用経験者は70.1%。利用した修理サービスとしては、「携帯電話事業者の修理サービス」が75.5%と最も多く、次いで「Appleの修理サービス」が16.8%となった。この他、第三者修理業者(街の修理店)の利用者が2.6%、MVNOの修理サービス利用者が2.0%となった (図表1)。

 ※故障時の端末本体の交換やバッテリー交換についても広義の修理に含めている。

修理サービスの利用状況では、携帯電話事業者やAppleなどによるメーカー修理が主流となっている。一方で、ここ数年、第三者修理業者の店舗(街の修理店)を利用するユーザーが増えつつある。端末の即時修理や修理料金の安さが支持を集めており、MM総研の調べでは、その店舗数は2017年3月末時点で約1,400店舗であったが、2018年3月末には約1,600店にまで拡大する見込みだ(図表2)。こうした状況も踏まえ、総務省は2015年4月より、端末修理をメーカー及びメーカーから委託を受けた修理業者以外に認める制度として、「登録修理業者制度」を開始。修理の箇所及び修理の方法が適正で修理後の端末が技術基準に適合していることを自ら証明できるなど、電波法で定める基準に適合する場合に、総務大臣から「登録修理業者」としての認可を受けることができるようになった。「登録修理業者」は2017年9月15日時点で26事業者にまで拡大。登録修理業者の運営する店舗数も167店舗にまで増加している。

 一方、今回の調査で「登録修理業者制度」の認知度を確認したところ、「名称を聞いたことがあり、内容まで知っている」と回答したユーザーは5.3%に留まった(図表3)。制度開始から2年が経過したが、認知度は低く、総務省や関係団体、登録修理業者自身による認知拡大への更なる取り組みが必要となっている。

 端末ではSIMフリー端末や中古端末、回線ではMVNOなど、携帯電話事業者以外によるサービスの多様化が進み、ユーザーの選択肢は確実に増えている。端末の修理サービスにおいても、登録修理業者制度が新たなユーザーの選択肢として広がることが、携帯電話市場の更なる多様化をもたらすことにもなるであろう。

◆スマートフォンの故障個所

 今回の調査では、スマートフォンの修理経験者2,769人の中から、さらに1,145人に対して、具体的な修理サービスの利用状況(故障時期、故障した端末のメーカー、修理箇所、修理金額、利用理由、満足度)などについても幅広く確認している。

 端末の故障個所(図表4)では、「電源が入らない」が19.1%で最も多く、次いで「フロントパネル・液晶画面の動作不良」が18.6%、「フロントパネル・液晶画面のヒビ割れ」が17.6%となっている。この他、「バッテリー」が16.0%、「内部の基盤」が13.3%となっている。スマートフォンの落下によるフロントパネルや液晶画面のヒビ割れに加え、近年では、スマートフォンの長期利用に伴う液晶画面の動作不良やバッテリーの交換依頼も増えているようだ。

◆修理サービス事業者の選択理由

 次に、実際に利用した修理サービスの選択理由について、携帯電話事業者、Apple、第三者修理業者(街の修理店)のそれぞれのサービス利用者に確認した。図表5は、選択理由として回答数の多かった上位3つの理由を挙げている。

 携帯電話事業者の修理サービス利用者では、「端末補償サービスを契約しているから」が33.0%で最も多かった。次いで「スマートフォンの購入先だから」の31.6%に続いて、「代替機を無償で貸し出してくれるから」が20.9%となった。携帯電話事業者は、他の事業者からの顧客獲得が難しくなる中で、CS向上や顧客の囲い込みを狙った修理サービスの拡充を図っている。MVNOに対する差別化や強みを発揮できる領域であり、自社の会員向けサービスとの連携強化などを図っている。

  第三者修理業者(街の修理店)利用者では、「端末をすぐに修理してくれるから(即時/即日修理)」が44.9%と最も多い選択理由となった。故障個所として多い、フロントパネルや液晶画面のヒビ割れ修理では早ければ30分程度で修理してくれる。修理に日数を掛けたくない、端末交換や代替機ではなく、使い慣れた端末をそのまま利用したい、などと考えるユーザーにとっては即時修理に大きな魅力を感じているようだ。他の修理サービスに比べ「料金が安いから」を理由とするユーザーも39.1%と多い。特に、通信事業者などが提供する端末補償サービスに非加入の場合、修理費用として数万円かかるケースもある。実際に今回の調査でも、街の修理店利用者の約7割が、通信事業者やメーカーの補償サービスには加入していないと回答している。

◆第三者修理サービスに対するユーザーの評価

 新たな修理サービスの選択肢となることへの期待がかかる第三者修理サービスだが、今回、携帯電話事業者、MVNO、Appleなど、第三者修理以外のサービス利用者に、第三者修理(街の修理店)を利用するメリットを評価してもらった(図表6) 。調査では、①修理料金、②即時修理、③内部データの非初期化での修理の3点について、それぞれ「大変魅力に感じる」から「全く魅力に感じない」までの5段階評価で回答してもらった。結果からは、③内部データの非初期化での修理に対する評価が高く、「大変魅力に感じる」が22.1%、「魅力を感じる」が33.6%となり、合わせて56%のユーザーが魅力を感じている結果となった。ついで「即時修理」に魅力を感じているユーザーが53%、修理料金に魅力を感じているユーザーが52%という結果となった。

◆第三者修理サービスの課題と展望

 第三者修理業者による修理サービスが、携帯電話事業者やメーカーに続く、新たな修理サービスの選択肢として広がるのか。当面の課題である認知拡大の観点では、登録修理業者による修理サービスが存在することを、総務省や関連団体、登録修理業者が訴求し続けていく必要がある。その際に、修理料金の安さや即時修理などのメリットだけでなく、修理できる範囲や修理部品などに関する正確な情報も合わせて提供することが重要だ。携帯電話事業者やメーカーの修理と何が異なり、どのようなメリット・デメリットがあるのかを周知する必要がある。登録修理業者自身も国より登録認定を受けた事業者としての信頼感や安心感を、利用するメリットとしてユーザーに認知してもらえるような事業運営が求められている。登録修理業者としての自社の価値を高めていくことが、登録認可を受けていない修理業者だけでなく、他の登録修理業者との差別化にもつながるだろう。

 登録修理業者制度の認知や利用者が拡大すれば、将来的には通信事業者やメーカーとの連携の可能性も広がるだろう。それにより、利便性が高く、質の高い修理サービスを、ユーザーが享受できるような環境が出来上がることを期待したい。

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 ■調査概要 

 調査対象:個人名義のスマートフォン利用者

1、回答件数:1万2,451人

2、調査方法:Webアンケート

3、調査期間:2017年8月7日~14日

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