2016年度上期国内パソコン出荷概要

--5半期ぶりのプラス成長

2016年11月21日

■上期出荷台数は前年度同期比2.3%増の485.2万台、2013年度下半期以来、5半期ぶりのプラス成長
■法人市場で二けたの伸長、個人市場も減少幅が縮小するなど市場縮小に歯止め
■16年度通期では微減も、17年度通期は再びプラス成長へ
■出荷台数 485.2万台 前年度同期比 2.3%増
■出荷金額 4,144億円 前年度同期比 0.2%増

 MM総研(東京都・港区、所長・中島洋)は11月21日、2016 年度上期(4~9月)国内パソコン出荷状況の調査結果を発表した。それによると、国内のパソコン総出荷台数は前年度同期比2.3%増の485.2万台、出荷金額は0.2%増の4,144億円となった。
 出荷ルート別では、店頭量販店及び個人向けWeb直販を主力とする「個人系ルート」が11.7%減の181.2万台、法人直販および法人向け販売店への出荷を主力とする「ビジネス系ルート」は13.1%増の304万台となった。
 出荷金額も0.2%増の4,144億円と台数とともにわずかながらプラス成長となった。円高を背景に、調達コストが下がったことで、製品市場での売価がやや下落傾向にある。
 メーカー別シェアでは、首位のNECレノボグループが25.6%、2位の富士通が17.3%となった。10月末にレノボとの事業合弁を検討していると発表した富士通は、1.1ポイントほどシェアを拡大している。また個人市場では、DELLが家電量販店販路で、大きく取り扱い量を拡大し、シェアを伸ばしている。

 2013年度末から2014年度上半期にかけて発生したWindowsXPの入れ替えに伴う特需で大きく拡大したパソコン市場は、14年度下期以降、その反動により市場縮小が続いていたが、ようやく歯止めがかかった。ただし、上期の下げ止まりの要因となった法人市場の拡大は、旧世代OSであるWindows7の最終需要を取り込んだものであり、パソコン市場の本格的な回復には個人向けパソコンやタブレット市場ではある程度浸透しつつあるWindows10の法人利用をより一層加速させる必要があると考えられる。

■2016年度上期のポイント

 2016年度上期の国内パソコン出荷台数は、前年度同期比2.3%増の485.2万台とOS更新特需で沸いた2013年度下期以来、5半期ぶりの成長となった。
 市場別では、個人市場向け出荷台数が11.7%減となったが、減少幅は縮小している。Windows10の無償アップグレードが開始された2015年7-9月期以降、減少幅はわずかずつではあるが縮小しているものの、同OSの無償更新は、ハードウェア入れ替えの起爆剤にはなっていない。また、低価格帯、インチサイズ11インチ前後のサブノートブックのカテゴリが台数を増やしている。
 法人市場は、2016年10月に、これまでの主力OSであったWindows7の出荷が終了する予定であったことで、最終購入を計画するユーザーの需要や在庫需要を取り込み前年度比13.1%増と台数が二けた成長となった。今後主力となるWindows10の需要は、特にセキュリティ対策に重きを置くグローバル企業や連結対象にガバナンスを利かせたいグループ企業などを中心に徐々に増加している。今後は中堅中小企業への導入促進が課題となろう。

■メーカー別動向

 ここ2年続いた市場の縮小は、メーカー再編の呼び水となっている。当初東芝、VAIOとの合弁を模索していると報道された富士通は、10月末にレノボとの事業合弁を検討していると発表した。同社はそれに先んじて2月にパソコン、携帯電話事業会社を分社化しており、上半期は個人市場、法人市場ともにシェアを拡大し、気を吐いている。個人市場では市場全体が縮小する中で在庫回転率を高め、縮小を最小限にとどめている。法人市場ではBTOによる細かな需要対応に応えシェアを拡大している。仮にレノボ、NECを合わせた3社のシェアを合計すると42.9%となり過半とはならないが非常に存在感の大きなグループとなろう。ただしNEC、富士通間では、個人向け家電量販店市場や官公庁市場など得意市場が重複するケースも多く、仮にレノボと富士通の合弁が成立した場合、3社としてみた場合の事業最適化をどのように遂行するのかなど、先行きの課題も見え隠れする。

■パソコン市場の展望

~16年度下期はやや停滞、通期では微減。17年度からは通期でプラス成長に転じる

 16年度通期の出荷台数は980.2万台と前年度比1%減を予測する。上半期の法人市場におけるWindows7最終購入需要が下期の需要をやや先取りしたものであることが要因。ただし、13年度から14年度にかけて発生した特需PCを含む法人パソコンの入れ替え需要が17年度以降徐々に発生するとみており、法人市場は、平時の需要規模である600-700万台規模に回復していくと見ている。個人市場は、ここ数年、モバイル通信キャリアが0円に近い価格でスマートフォンやタブレットを提供し続けたことで、ライトユーザーを中心にパソコンの買い替えが大きく鈍ってきたが、その状況が改善されれば縮小幅はさらに小さくなるだろう。ただし、タブレット需要自体も鈍っており、パソコン市場も根本的な需要喚起にはこれまでの提案、すなわちPCとしてもタブレットとしても利用できる2in1製品といった範疇を超えた提案が重要となろう。具体的には音楽や映像といったエンターテインメントはもちろんのこと、住宅や白物家電、食品、車、教育といった他産業との連携提案が重要となろう。


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