スマートフォンユーザーの利用実態調査

2011年05月19日

■スマートフォンユーザーのWebサイト閲覧時間は携帯電話ユーザーの約3倍
■バッテリー容量、アプリが見つけづらい、Webの表示に時間がかかる点に不満が集中
■スマートフォンユーザーは高速モバイル通信サービスLTEの普及に期待

 MM総研(東京都港区、所長・中島 洋)は5月19日、インターネットアンケートサービスを運営する「クロス・マーケティング」のモニターを活用して、全国のスマートフォンユーザー1,400名及び携帯電話(フィーチャーフォン)ユーザー17,156名に対するWebアンケート調査を実施。スマートフォンと携帯電話(フィーチャーフォン)のサービス利用実態及び、スマートフォンの機能やネットワークサービスの不満・改善点を調査し結果をまとめた。

■スマートフォンの普及によりWebサイト閲覧が長時間化、高速モバイル通信設備の早期拡張などサービス品質の向上が期待される

 今回行ったユーザーアンケートの結果によると、スマートフォンと携帯電話、それぞれにおける1日あたりの平均Web閲覧時間は、携帯電話ユーザーの58分に対し、スマートフォンユーザーは2時間49分となった。スマートフォンユーザーの閲覧時間は携帯電話ユーザーに比べて3倍近く長いという結果となった。

 Webサイトのジャンル別でみると、スマートフォン、携帯電話ユーザーともに「ブログ・SNSつぶやき系サイト」が最も長く、スマートフォンで平均23分/日(図1-b)。スマートフォンユーザーと携帯電話ユーザーで閲覧時間の差が大きかったのが「動画サイト」で、携帯電話の4分/日に対しスマートフォンでは17分/日と4倍以上に拡大した。

 スマートフォンユーザーに、スマートフォンを利用していて感じる不満を聞いたところ、最も比率が高かったのが「バッテリー容量を気にしてネット閲覧やアプリを使用しなければならない」で47.4%(図3)。半数近くが回答し、他の項目と比べても特に高い割合を示した。「Web閲覧」時については、「表示までに時間がかかることがある」(33.1%)などの不満が高かった。「アプリ」については、「目的のアプリが見つけづらい」が33.5%で最多となっている。

 また、スマートフォンの普及にともない3G回線の更なる高速化が必要となることを踏まえ、今後普及が見込まれる3.9世代移動通信システム『LTE』についても質問した。その結果、LTEのサービス概要を説明した上でLTEの普及に期待するかについては、「すぐに利用したい」(9.2%)、「次回の携帯買い替え時に契約したい」12.2%、「次回の携帯買い替え時に検討したい」33.8%となり、比較的普及期待度が高いと考えられる3回答の合計は55.2%となった。スマートフォンユーザーの半数以上がLTEに期待感を持っているという結果となった。

■スマートフォンユーザーのWebサイト閲覧時間は携帯電話ユーザーの約3倍

 アンケートでは、まず現在スマートフォンを保有するユーザー、携帯電話を保有するユーザーに対してネットサービス等の利用状況を質問した。その結果、スマートフォンユーザーの平均的なWebサイト閲覧時間は1日あたり2時間49分で携帯電話ユーザーの58分に比べて約3倍になっていることが明らかになった。

 スマートフォン、携帯電話ともに最も閲覧時間が長いのは「ブログ・SNS・つぶやき系サイト」で、スマートフォンユーザーは1日あたり平均23分、携帯電話ユーザーは11分/日となった(図1-b)。スマートフォンユーザーで2番目に閲覧時間が長かったWebサイトは「ポータル(検索)サイト」で18分/日、以下「動画サイト」17分/日、「ニュース・天気予報」16分/日と続いた。携帯電話ユーザーでは2番目に長かったのは「趣味・エンターテインメント情報」(6分/日)、「ポータル(検索)サイト」「ニュース・天気予報」「ゲーム(SNS以外)サイト」がそれぞれ5分/日となった。

 スマートフォンユーザーと携帯電話ユーザーの比較では、全ジャンルのWebサイトでスマートフォンの方が長い結果となった。特にその差が大きかったのが「動画サイト」で携帯電話の4分/日に対しスマートフォンでは17分/日と4倍以上となった。

■「ニュース・天気」「地図・ナビ」などが人気のアプリで、それぞれ75%程度が利用

 スマートフォンユーザーに、利用しているアプリを複数回答で聞いたところ、最も利用率が高かったのは「ニュース・天気アプリ」で75.4%、以下僅差で「地図情報・ナビゲーション系アプリ」(74.7%)が続き、「ゲーム(端末ダウンロード型)アプリ」(65.9%)、「動画サイト閲覧アプリ」(65.2%)、「便利ツール、カスタマイズツール系アプリ」(64.0%)となった。

■バッテリーの持ち、アプリの見つけづらさ、Webサイトの表示の遅さなどに不満が集中

 スマートフォンを利用していて感じる不満について「端末・ネットワーク」「Webサイト閲覧」「アプリ」それぞれについて聞いた。

「端末・ネットワーク」で最も比率が高かったのが「バッテリー容量を気にしてネット閲覧やアプリを使用しなければならない」で47.4%。半数近い回答者が不満として挙げており、他に大きく差をつけてトップとなった。以下、「従来の携帯電話の機能が使えない(ワンセグ・おサイフケータイなど)」(29.1%)、「パソコン並の処理能力がない」(23.7%)などとなった(図3)。「バッテリー容量」に対する不満が高く、早急な改善が望まれる。同様におサイフケータイやワンセグなど、従来の携帯電話機能が使えないことに対する不満も高いが、国内メーカーのAndroid端末にはそれらの機能を搭載しているものも多くなっており、この問題は徐々に改善に向かうとみられる。

 「Webサイト閲覧」では「表示までに時間がかかることがある」が33.1%で最多、僅差で「画面からはみ出し、頻繁にスクロールしなければならないことがある」(31.7%)、「クリックしても反応が遅いことがある」(31.0%)、「文字が小さい、画像や動画が小さい/見にくいことがある」(30.4%)などの項目が30%以上の比率で高かった。スマートフォンは携帯電話に比べパソコンに近い感覚でWebサイトを利用できると期待する一方、通信品質およびスマートフォン向けのWebサイトデザイン等での利便性改善が今後の課題と言える。
 
 「アプリ」では「目的のアプリが見つけづらい」が33.5%と全体の1/3以上の回答者が同項目を指摘。以下「アプリの完成度が低い」(23.5%)、「アプリの価格が高い」(23.5%)、「ウイルスに感染してしまうのではないか」(20.1%)となった。また「目的のアプリが見つけづらい」ことを指摘する声も多かった。豊富なエンタメ系ツールや便利ツールなどから、自分の好みにあったツールを自由に端末にインストールし、カスタマイズできるアプリの存在は、スマートフォンの人気要因。iPhoneであれば「App store」、Androidでは「Android Market」のほかにも携帯電話事業者が提供するマーケットなど複数のアプリ販売サイト(マーケット)が存在するため、ユーザーは複数のサイトから目的のアプリを探し出す必要がある。更にアプリが期待通りに動かない、ウイルス感染やアプリ購入時の決済方法への不安も挙がっており、アプリの探し易さとあわせて携帯電話事業者、サービスプロバイダーによる包括的なユーザービリティの向上に向けた改善が期待される。

■既存の3G回線はソフトバンクの満足度に屋内外で差

 また今回、スマートフォンの普及でデータ通信トラフィックが増加しサービス品質の低下が懸念されるネットワーク回線(3G)について、携帯電話事業者別に満足度を質問し、ポイント化して分析した(「大変満足」を100ポイント、「やや満足」を75ポイント、「普通」50ポイント、「やや不満」25ポイント、「大変不満」0ポイントとして加重平均を取り、満足度ポイントを算出、70ポイント以上が満足しているサービスとされる)。その結果、 「交通機関の中」「屋外」「商業施設内」「職場・学校」などでは、NTTドコモとKDDI(au)がそれぞれ51~54ポイント程度であるのに対し、ソフトバンクでは38~43ポイントとなった(図4)。一方「自宅」ではNTTドコモが最高の56ポイント、KDDI(au)が55ポイント、ソフトバンクは屋外等に比べ最大15ポイント高い52ポイントとなり、自宅での利用満足度は各社ほぼ同等となった。

 今後、スマートフォンの普及に伴い同時接続数の増加や大容量アプリの利用が拡大する。通信事業者には、フェムトセルを含む3G回線設備の増強、LTE等の高速モバイル通信設備の早期拡張によりサービス品質の向上が求められる。

■スマートフォンユーザーは高速モバイル通信サービスLTEの普及に期待

 3Gネットワーク回線に対する満足度は最も高いNTTドコモでも50ポイント台に留まることから、今後のスマートフォン市場拡大における本質的課題の1つと言える。満足度向上につながるサービスとして期待される高速モバイル通信サービス「LTE」に関してスマートフォンユーザーに認知状況や期待度を質問した。

 LTEを知っているかという質問に対しては「概ね理解している」(11.1%)、「なんとなく知っている」(15.5%)、「言葉を見たり・聞いたりした程度」11.3%。この3つの回答を合計して37.9%と、未だ認知度は低い状況にある。

 また、LTEのサービス概要を説明した上でLTEの普及に期待するか質問したところ、「すぐに利用したい」(9.2%)、「次回の携帯買い替え時に契約したい」12.2%、「次回の携帯買い替え時に検討したい」33.8%となり、比較的普及期待度が高いと考えられるこの3つの回答の合計は55.2%となった。スマートフォンユーザーの半数以上がLTEに期待感を抱く結果となった。

  MM総研は5月10日に発表したスマートフォンの出荷台数予測で11年度は前年度比2.1倍の1,820万台、携帯電話全体の出荷の46.8%を占めると予測した。これからは携帯電話、ITリテラシーが高くないユーザーもスマートフォンを利用し、アプリを使うようになる。携帯電話事業者のネットワークインフラ整備、端末の技術革新などにより本調査で明らかになった不満点が取り除かれ、誰もが簡単・安心且つストレスなく利用できる環境を実現することが望まれる。

■調査概要
1.調査対象:全国の一般消費者
2.回答件数:18,556件
※男女比 男性(49.9%)/女性(50.1%)
※年代構成 18~29歳(20.1%)/30~39才以下(20.1%)/40~49才(19.7%)/50~59才(19.9%)/60才以上(20.1%)
3.調査方法 :Webアンケート
4. 調査期間 :2011年2月10日~2011年2月14日

=========================================================================
■株式会社クロス・マーケティングについて
株式会社クロス・マーケティングは、国内140万人超の大規模モニターを軸に、生活者の「生」の声を、主にインターネットを活用して収集するマーケティングリサーチ会社です。生活者の嗜好の多様化や、商品サイクルの短期化に対応するため、ネットリサーチの優位性である「スピード」「コスト」に加え、「品質」を最大限に重視したリサーチサービスを展開しています。調査企画から設計、実査、集計・分析レポートまで、マーケティングリ サーチに関するあらゆるサービスをトータルにサポートしています。


■注意事項
1. 本プレスリリースは、MM総研が実施した市場調査の結果と分析から一部または全部を抜粋したものです。
2. 報道機関が引用する場合は、出典を「MM総研」と明記してください(MMは全角)。数値等は表ではなくグラフ化して掲載してください。
3. データ掲載時または調査方法掲載時には「クロス・マーケティングのモニターを活用した調査」である旨も明記してください。
4. 報道機関以外が本プレスリリースの内容を引用・転載する場合は、MM総研による承諾が必要です。
5. MM総研の独自調査結果であり、公的機関の統計や企業の公表数値等と異なることがあります。また、データ・資料は、作成時点におけるものであり、今後予告なしに変更されることがあります。
6. 本データを報道以外の以下用途で無断利用することを固く禁じます。
 -プロモーション(広告・販売促進資料・ホームページ掲載・チラシなど外部に発信する資料・データ)
 -セミナー・講演会
 -その他、営業目的・営利目的での使用
7. 調査の詳細、研究員コメント、データ利活用などについては、担当者までお問い合わせ下さい。

■MM総研について
株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀にわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。

本件に関するお問い合わせ先

(株)MM総研

担 当 : 横田/渡辺

所在地 : 105-0011 東京都港区芝公園2-6-3 芝公園フロントタワー

連絡先 : 03-5777-0161

電話をかけるお問い合わせ

おすすめのプレスリリース