Chromebookがコスパ・タイパで優位に
―――Chromebookの組織利用におけるコスパ・タイパ比較調査
2025年12月19日
■概要
MM総研は、Windowsパソコン、Chromebook双方の組織ユーザー(企業、自治体など公共機関)に対するパソコン端末の調達や運用おけるコストパフォーマンス調査(2024年6月時点)と組織内ユーザーのパソコン端末に起因する業務停止時間の比較、タイムパフォーマンスに関する調査(2025年11月時点)を実施し、その結果をまとめた。
企業などの組織では、業務遂行にパソコンが欠かせないものだが、IT(情報技術)の重要性が高まるにつれ、運用管理やセキュリティ対策への対応負荷も大きくなっている。またWindowsパソコンとChromebookでは機能に違いがある。過去の企業取材では、Chromebookは、Windowsで作成したファイルの修正やプリントなどをうまく活用できないなど否定的な意見もあったが、近年Chromebookの利用でクラウド活用が進み、組織の活動が効率化、高度化されたという評価の声も増えている。
端末特性の違いは端末選定時に組織ごとに業務適合性などを考慮、評価すべきで、組織や役割により異なることが多い。しかしコストパフォーマンスやタイムパフォーマンスは、組織特性や端末特性を超えた共通尺度として検討の重要項目となると考えられるため、それらの比較調査を実施し、結果概要を公開した。
Chromebookユーザーの中には浮いた費用をAI活用などに再投資し、業務効率化を進める事例も出てきている。組織ユーザーには本結果を検討材料のひとつとして活用いただき、これまでのIT費用の活用効率化と、削減できた費用の戦略的な投資への再配分など、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に寄与するアクションを進めていただきたい。
1.コストパフォーマンス データ1
- Chromebook1000台を5年間運用する想定での試算では、Windowsと比べ約2.5億円の費用を削減し、およそ半減する。
- 端末費用などの直接的費用の削減に加え、クラウドを活用するうえでかかるセキュリティ対策コストを抑制できる点が大きい。
- Windowsは従来のオンプレミスネットワーク、クラウドネットワーク双方へのセキュリティ対策投資が重荷となり、Chromebookはクラウドプロキシへのセキュリティ対策に集中できることが強みとなっている。
2.タイムパフォーマンス データ2 データ3
- Chromebookの端末運用管理にかかる情報システム部門の作業時間は、Windowsより3000時間以上少なく、98%削減。(1年間/1000台あたり)
- ハードウエアの故障以外のダウンタイムを比較するとChromeboookの業務停止時間はWindowsパソコンより大幅に少なく600時間を超える削減効果がでる(1年間/1000台あたり)
- Chromebookではパソコン起動から実働開始まで時間がほぼなくなり、基本ソフト(OS)アップデートのダウンタイムも発生しない。
【データ1】

【データ2】

【データ3】

■注意事項
※いずれの調査結果も、実地調査の結果をMM総研でモデル化した試算結果であり、実際の導入においての効果額や効果率を保証するものではない。
※各パフォーマンス算定の対象範囲は、取材結果に基づき、一般的モデルとして含めるべきかをMM総研の視点で検討したうえで抽出した。
※データ1 コストパフォーマンス調査ではWindowsパソコンを主に利用する中堅から大企業に分類される企業ユーザー5社*の情報システム部に協力をいただき、データ内下段にある詳細項目の総費用を聞き取ったうえ、1000台調達運用/5年などのライフサイクル全体に換算するモデル化をおこなった。よって、1000台を調達した際に必ずしも発生する直接的な費用差ではないことに注意されたい。また一部の回答者の端末調達時点の総コストなど担当者が正確に把握しきれていない項目もあり、調達にかかる費用は調査時点当時の一般流通価格などを採用し試算している項目もある。
※データ1 コストパフォーマンス調査では、端末お及び端末セキュリティコストに加え、端末が企業システムにアクセスするネットワーク費用とネットワーク上における端末セキュリティにかかるコストを含めている。一方、仮想デスクトップ(VDI)などの固有インフラに関するコストや企業が配布するアプリケーションコスト、改修費は含めていない。
※データ2と3 タイムパフォーマンスは、業務停止時間を比較しているが、ハードウエアに起因する障害(故障修理や交換)は、含めていない。データ2ではキッティングなどを評価対象に含めているが、更新時の新規端末へのキッティングのみ対象としており、修理や交換時の対応は除外している。
■調査概要
実施機関:株式会社MM総研
調査期間:2024年6月(コストパフォーマンス調査)
:2025年12月(タイムパフォーマンス調査)
調査⼿法:ユーザーインタビュー調査を基礎としたMM総研研究員による分析
回答状況:コストパフォーマンス インタビュー5団体*
(金融/700人,金融/1000~3000人,金融/3000~5000人,
製造/800人,製造/5000人 計5社)
タイムパフォーマンス インタビュー3団体
(地方自治体/2500人, 地方自治体/750人,アパレル/1800人 計3団体)
(長尾)

