Box Japan 10周年、国内市場での成功を祝福

――Box報道陣向け会見の開催

2023年09月12日

 

米クラウドストレージ大手 Box共同創業者兼CEOのアーロン・レヴィ氏が8月に来日。Box Japan代表取締役社長の古市克典氏とともに、メディアラウンドテーブルを開催した。

 

AIの活用により、社内データのポテンシャルを引き出す

 「日本は世界のBoxの中でも急成長を遂げた市場であり、こうして10周年を迎えたことをとても嬉しく思っている」と述べた。また、「Boxが日本市場に参入した時期は、柔軟な働き方や、コラボレーションの強化など、新しい働き方が議論され始めていた。今では、ZoomやSlack、Boxの活用が当たり前になり、この10年で日本での働き方が大きく変わった」と振り返った。
 今年5月に発表した「Box AI」についても説明した。「現在、組織内のデータは整理されておらず、多くの企業が十分な価値を引き出せていない。組織内のデータの80%が『非構造化データ』。契約書、マーケティング資料、財務データなど未整理の情報だ。データベースで管理された『構造化データ』は20%に過ぎない」と指摘した。
 その状況を変えるためには、人工知能(AI)の活用が必須であると強調。Box AIを使うことで、セキュリティを担保した上で、迅速に必要な情報を抜き出すことが可能になる。将来的には、Box AIがマーケティングやITなど各分野の専門家のように、こちらが質問を投げかけたら、社内データを元に的確に答えてくれる、というビジョンを描いている。

組織内のデータの80%が非構造化データ

(出典:Box記者会見資料より)

 

非構造化されたコンテンツをBox AIで活用する

(出典:Box記者会見資料より)

 

経営層のIT投資に対する意識変革の重要性

 Box Japanの古市克典社長はまず、Box Japanの10年間の成長を振り返った。創業以来9年連続で増収、国内顧客数は1万5000社を超える。売上高はBoxグループ全体の19%を占め、Boxにとって日本は重要な市場になっていることを示した。
 「年間新規受注高は3年ごとに波が来て、大きく増加している」とし、「第一波は、2015年の日本年金機構の個人情報漏えい事故が要因となり、セキュリティ強化の観点からBoxが導入された。その後、政府主導の働き方改革、コロナパンデミックによるリモートワークの普及が押し上げ要因となり、第二波、第三波となる。直近では、脆弱性が指摘される 圧縮ファイル(ZIPファイルなど)とパスワードを別送する「PPAP」方式のメール廃止の動きや、デジタル庁の発足により、セキュリティやデータ推進への関心が高まっている」と説明した。
 最後に、デジタルトランスフォーメーション(DX)と同時に、アナログなトランスフォーメーションの重要性を訴えた。「ひとつ目は、デジタル化をIT部長任せにせず、経営層が経営における投資のひとつとして舵を握ること。2つ目は、社外のシステムインテグレーション(SI)に頼るのではなく、社内のトランスフォーメーション人材を育成すること。3つ目に、若い人やIT部門だけなく、全社員がITを使っていくことが重要」と話す。そしてBoxの日本法人として日本企業の成長に貢献していきたいと締めくくった。

 

Box Japan年間新規受注高は日本の社会変化に応じ大きく増加した


(出典:Box記者会見資料より)

 

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