2022年、ドローンが東京上空を飛び交う

――【連載第1回】『空の産業革命に向けたロードマップ』最新版に明記

2020年10月01日


(MM Report 10月号より)
 2020年7月、『空の産業革命に向けたロードマップ』の最新版が公開された。特筆すべきは、ドローン本格商用利用のターゲットが2022年と明記されたことである。東京の上空をドローンが飛び交う未来が目前に迫っている。


■有人地帯での目視外飛行(レベル4)を実現へ

 内閣官房が作成・公開する『空の産業革命に向けたロードマップ(以下、ロードマップ)』は、日本のドローン産業の発展に向けた指針である。有識者の継続的な議論を踏まえ、毎年更新されてきた。安全な活用のために政府が対処すべき課題と、それらをいつ頃までに解決すべきかを示している。検討状況や今後の論点、施策検討の方向性など、政府の動きを知る上で有益な情報源だ。


〈図〉「空の産業革命に向けたロードマップ2020」の要点



 今回の最注目ポイントは「有人地帯での目視外飛行(レベル4)の実現」を2022年度中に実現するという目標の明記だ。ドローンの本格的な産業利用が秒読みとなったことを意味する。「レベル4」が実現すれば人口の多い都市部でも、物流やインフラ点検、災害対応や警備などにドローンを活用できようになる。

 ロードマップは以下の3つの大項目と、それに付随する個別課題を時系列で整理している。個別課題は担当省庁が持ち帰り、進捗に応じて修正される。

【環境整備】
 法律や制度・システムや設備に関する課題である。特に「制度の整備」に関する課題は「基本方針」と呼ばれる。現行の法制度をどう変えるのかを知る上で最も重要な箇所で、ロードマップの中核だ。

【技術開発】
 技術開発課題のうち、ドローンを安全に飛行させる公共インフラの構築技術に関わる課題が列記される。機体やアプリケーションなど、主に民間が開発すべき技術は含まない。

【社会実装】
 環境整備と技術開発の結果として実現する具体的な用途に関わる内容である。ドローンの活用用途と、実現スケジュールが記載されている。


■2023年「空飛ぶクルマ」実用化も視野に

 ロードマップでは、2022年以降のさらなる高度利用の方針も明記された。人と重量物の輸送に関わる「空飛ぶクルマ」の実用化がそのターゲットだ。日本でもNECが2019年に飛行実験を実施し、2020年8月には株式会社SkyDrive(本社:東京都新宿区、福澤知浩代表取締役)が有人飛行実験を成功させた。ドローンや空飛ぶクルマに関連するエアモビリティ市場は、2030年に全世界で10兆円に迫るとの試算もある。さまざまなプレーヤーが巨大市場に食い込む準備を着々と進めている。
(狩野翼)

※ 詳細は会員限定調査情報誌「MM Report」2020年10月号をご覧ください。