「20年後、1兆個のチップを供給」

――――ソフトバンク孫社長、英ARM買収にかける思いを熱弁

2016年07月22日

 
 ソフトバンク主催の「SoftBank World 2016」が7月21日、22日都内のホテルで開催され、初日の基調講演でソフトバンクグループの孫正義社長は英国半導体設計大手のアーム・ホールディングス(ARM)買収を主なテーマに1時間半にわたって語った。日本企業による最大規模の買収になり、ソフトバンク株が一時値下がりするなどしたが、「ARMは将来、グループの中核会社になる」と断言、IoT時代を見据えた「“飛び石”戦略」(孫社長)は必ず成功するとの自信を示した。孫社長講演の要旨は以下の通り。
・ARM買収に踏み切るまでには2週間考えた。ARM社のトップ2人とトルコの港町でランチを共にし、それから買収を決めるまで2週間。
・ARMはプロセサーの研究開発企業。設計のライセンスをチップメーカーに供与するビジネスがメインで、ARMアーキテクチャーのチップがさまざまな製品に組み込まれている。2015年に生産されたARMベースのチップは148億個.スマートフォンの95%、タブレットは85%のシェアだ。
・すべてのものがネットにつながるIoT時代にはARMベースのチップが重要な役割を持つ。チップサイズは1.6ミリ×2ミリ。しかも最大の特徴が省電力だ。電池切れの心配があまりない。これを使えば羊の放牧も一変する。チップを首輪に付けた羊を追いかけるのは牧羊犬ではなく、チップの情報を追うドローンになっている。
・いまから20年後、ARMベースのチップは年間1兆個規模になるだろう。地球上の森羅万象、あらゆるもののデータがチップを通して吸い寄せることができる。そのビッグデータを分析、予想も可能になる。私は「singularityの時代」と表現する。人間の脳を超える超知性の時代がやってくる。(講演内容の詳細は8月25日発行のM&Dレポートに掲載予定)