ソラコム、生成AIと通信技術の融合でIoT基盤を強化
――OpenAI APIとのエンタープライズ契約も
2025年07月09日
ソラコムは7月9日、IoT領域における新サービスと機能拡張を相次いで発表した。
■ SORACOM Query、7月16日から正式提供へ
「SORACOM Query」はSORACOMプラットフォーム上のSIM利用状況や通信量、料金情報、また「SORACOM Harvest Data」に蓄積されたIoTセンサーデータを対象に、SQLクエリー(データベース言語の命令文)で検索・分析を可能にするデータ分析基盤である。リアルタイム可視化やスケーラブルなクエリー実行に対応しており、IoTの現場で発生する膨大なデータを、安全かつ効率的に取り扱える。
正式提供にあたり、自然言語からSQLへの変換を可能とする「Query アシスタント AI」を搭載した。これにより、専門知識がなくとも「通信量が多いデバイスの抽出」や「異常値の検出」といった複雑な分析を自然言語で実行できるようになった。
さらに、外部BI(ビジネスインテリジェンス)ツールとの連携や、SORACOM Lagoonを通じた可視化、API経由でのシステム統合も可能で、用途に応じて柔軟な運用ができる。提供プランは、無料で試せるTrialプラン、ビジネス用途向けのBusinessプラン、さらにエンタープライズ対応のEnterpriseプランを用意し、スケールや目的に応じた選択ができる。
(画像)代表取締役社長の玉川憲氏
■ OpenAI APIとのエンタープライズ契約を締結
ソラコムは米OpenAIと同社の「OpenAI APIプラットフォーム」を活用するためのエンタープライズ契約を結び、生成AIの業務利用をさらに本格化させる方針を示した。この契約により、生成AIを用いたサービスの構築に必要なセキュリティや管理機能が強化され、より安全で柔軟なサービス開発が可能となる。
ソラコムは社内でのChatGPT活用を早くから推進し、すでに「SORACOM Query Intelligence」や「Harvest Data Intelligence」など、生成AIを活用した製品を提供している。今後は、こうした知見を活かしながら、IoTとの連携を深め、データ分析・予測・意思決定支援といった分野での利用を加速させる方針だ。
■ SORACOM Connectivity Hypervisor、2025年度中に提供予定
ソラコムはIoT SIMにおいて複数の通信プロファイルを自動的に追加・切り替え可能とする新機能「SORACOM Connectivity Hypervisor」を2025年度中に提供する計画を発表した。この機能はGSMAが策定したIoT向けeUICC規格「SGP.32」に準拠しており、他社通信事業者のプロファイルにも対応できるのが大きな特徴だ。
IoTデバイスは出荷時にSORACOM回線で初期接続し、その後ユースケースや地域に応じて最適な通信プロファイルに切り替えることが可能となる。通信の冗長性確保や、国ごとのローミング規制対応、通信コストの最適化など、多くの課題に対する柔軟な解決策を提供する。
将来的には、SGP.32に基づいた通信制御や、バックアップ回線としてのSORACOMプロファイルも活用でき、より安定したIoT運用が実現できるという。
(画像)SORACOM Connectivity Hypervisorのイメージ
<プレスリリース>
https://soracom.com/ja/news/20250709-iot-data-analysis-platform-soracom-query
https://soracom.com/ja/news/20250709-develop-services-using-ai
https://soracom.com/ja/news/20250709-connectivity-hypervisor
(小池)