NEC、医療文書への生成AI活用の実証実験開始

――――東北大学病院と、医師の働き方改革に向けて

2023年12月14日

NECと東北大学病院(仙台市)は12月13日、医師の働き方改革に向けて、医療文書を自動作成する生成AI(人工知能)の実証実験を実施したと発表した。電子カルテなどの情報から医療業務向けにチューニングした大規模言語モデル(LLM)を活用することで、文書作成時間が半減するなど業務効率化の可能性を確認したという。また橋本市民病院(和歌山県橋本市)とも同様の実験を2023年10月から実施している。

 

● 東北大学病院との実証実験(実施期間:2023年10~11月)
NECが開発した医療テキスト分析AIとLLMを活用し、電子カルテの患者情報から治療経過の要約文章を自動で生成可能と確認した。東北大学病院の一部の診療科の医師10人が協力し、文書作成時間の平均47%削減を実現、文章の表現や正確性についても高い評価が得られた。膨大な電子カルテの記録からの情報収集、文書作成にかかる医師の業務の効率化が確認できたという。

 

● 橋本市民病院との実証実験(実施期間: 2023年10月~2024年3月予定)
匿名化された電子カルテの情報を、クラウドセキュア接続サービス「MegaOak Cloud Gateway」を介してクラウド上のLLMと連携し、個人情報を学習させないように配慮しながら要約文章を生成する。要約文章の精度向上に加え、入院中の経過をまとめた「退院時サマリー」だけでなく長期間にわたる治療経過に関する要約文章の生成についても実証を進める。また、操作性の向上を目指し、電子カルテの画面上に新設した「LLM」のボタンをクリックするだけで要約文章を自動生成する機能も実装する予定としている。

 

NECは今後、LLMと音声認識を組み合わせた医療文章の作成支援や、LLMを活用した様々な医療文書の自動作成に関する実証も進めていく。これらを踏まえ、LLMを活用した医療機関向けのソリューションを2024年内に提供する予定だ。

 

LLMで電子カルテから医療文書を自動作成

LLMで電子カルテから医療文書を自動作成

 

<プレスリリース>
https://jpn.nec.com/press/202312/20231213_01.html

(長尾)