「アマゾンの対抗軸を目指す」角川会長が宣言

――東京国際ブックフェア講演会で

2013年07月03日


 「東京国際ブックフェア」(第20回)が7月3日東京ビッグサイトを会場に開かれ、基調講演した角川グループホールディングス取締役会長の角川歴彦氏は米アマゾンの攻勢で危機感を高める出版業界に結束を呼び掛け、「アマゾンの対抗軸を目指す」と宣言した。
 角川氏の講演要旨は次の通り

・2012年から13年は出版界に「パラダイムシフト」が起きている。様々な産業分野でデジタル化の波は押し寄せたが、出版界のデジタル化は今現実のものになった。電子書籍がネットとつながることで、これまでにない構造変化が起きた。この仕組みを持ち込んだのがアマゾンだ。

・出版、書店、取次という出版界を支えてきた関係が大きく揺れている。大手取次店の一社が楽天の支援を受ける事態になり、書店も高コスト体質を維持できなくなっている。

・これまで日本の出版界は自らイノベーションを起こすことはなかった。しかし、外から揺さぶられている今、中からイノベーションを起こすべきだ。

・新刊書を注文して届くまで何日もかかるような現状はいけない。アマゾンは注文したら翌日届く。アマゾンができることなら、出版界もできるはずだ。クラウドも活用すべきだ。クラウドに出版社の在庫データを蓄積すれば、書店が簡単に本の在庫状況を把握できるから、注文主への対応もスムーズになる。翌日配送など、いわゆるO2Oビジネスにも対応できる。アマゾンの対抗軸を目指していきたい。

・図書館対策として電子書籍の新しいシステムをつくるため角川と講談社、紀伊国屋書店の3社が協業する。ほかの出版社も参加してくれる見通しだ。これからは業界が結束していく時代だ。私もこれからの人生、出版界のイノベーションにささげたい。