主要イベントで見えた政府のドローン活用推進政策

――【連載第九回】「レベル4飛行」実現前夜の新制度と導入事例

2021年08月02日

 

(MM Report8月号より)

 2021年6月はドローン産業に関するイベントが相次いだ。ひとつは一般社団法人日本UAS産業振興協議会(以下、JUIDA)が主催する「Japan Drone 2021」。もうひとつは経済産業省とNEDOが開催した「全国自治体ドローン首長サミット」だ。イベントを通じ、「環境整備」・「技術開発」・「社会受容性の確保」に関する政府の最新の取り組みが見えた。

 

■国内最大級の展示会「JapanDrone」

 JUIDA主催の「Japan Drone」は無人航空機産業に特化した国内最大級の展示会。今年は6月14日から16日まで開催された。

 講演では、国土交通省が所管する航空法改正に伴う制度変更について説明した。今年6月4日に航空法が改正され、「レベル4飛行」(有人地帯の目視外飛行)の実現に法的根拠が与えられた。レベル4飛行とよりリスクの低い飛行方法とで飛行許可の与え方を変える。

 具体的には①機体認証制度の創設とユーザーへの機体整備の義務付け、②操縦ライセンスの変更、③運航ルール整備の3つ。①ではレベル4飛行に対応する機種を「1種認証」、それ以外を「2種認証」と機種を分類する。②で国がパイロットの操縦技能を認定する制度に改め、レベル4飛行が可能な「1等ライセンス」・それ以外の「2等ライセンス」に分類する。その上で、レベル4飛行に限り、「1種認証」機体を使い、「1等ライセンス」のパイロットのもと、飛行計画を個別に審査する。一方、飛行計画の個別承認は、低リスク飛行の場合には原則不要となる。

 

(画像1)JapanDroneの目玉展示、ソニーの「Airpeak」

 

■自治体での活用を促す「全国自治体ドローン首長サミット」

 6月4日には経済産業省・NEDO共催の「全国自治体ドローン首長サミット」が開催。ドローンの「社会受容性の確保」をめざすイベントで、行政コスト削減や社会課題の解決などを目的にドローンを積極活用する自治体をオンラインで結び、活用事例や今後の展望について5人の首長がさまざまな事例を紹介した。

 「スマートシティ」を推進する加賀市ではICT企業を誘致して産業集積をめざしている。ドローン活用では「AI管制プラットフォーム」を整備する。将来の無操縦飛行を想定し、機体が予定飛行経路を安全に飛行するための管制機能の役割を果たす。市内生活圏全域の3Dマップ作成で、ドローンや空飛ぶクルマの飛行ルートである「空の道」を整備しているのだ。医薬品配送の実証実験では予定地点への10センチ精度での着陸に成功したという。

 積極的な事例紹介により、首長のリーダーシップによる、自治体のドローン活用を推進したい経産省の狙いが見える。

 

(狩野翼)

 

※ 詳細は会員限定調査情報誌「MM Report」2021年8月号をご覧ください。