NTT、IOWN構想実用化へ総合研究所を新設

――センタ長には富士通元副社長を起用

2021年05月13日

NTTが5月12日発表した2020年度決算は、売上高に相当する営業収益と当期利益がともに過去最高を更新した。国内SI事業とスマートライフ領域がけん引。澤田純社長は将来構想について光電融合技術である「IOWN構想」の実用化に向けて総合研究所を設立すると発表した。

 

■2021年度純利益は初の1兆円超を見込む
 営業収益は11兆9440億円(前期比0.4%増)と4年連続過去最高を更新。当期純利益は9162億円(同7.1%増)。NTT東西やNTTコミュニケーションズ、NTTドコモなどのグループ会社の国内SI事業と、NTTドコモのスマートライフ領域が寄与した。2021年度については、営業収益は微増の12兆円に対し、純利益は1兆850億円と初の1兆円乗せを見込む。NTTドコモのオンライン専用プラン「ahamo(アハモ)」などの携帯電話料金引き下げによる影響があるものの、国内SI事業とスマートライフ領域の成長を見込む。

 

■京大とは共創プロジェクト発足
 IOWN構想については研究開発体制を強化。2021年7月に「IOWN総合イノベーションセンタ」を新設する。同社4番目の総合研究所となる。「既存の3つの総合研究所は研究寄りだが、新設する総合研究所は実用化に近い開発をする」(澤田社長)と基礎研究に比重を置いた従来の3研究所と一線を画した。センタ長には、元富士通副社長で現NTTアドバンステクノロジ顧問の塚野英博氏が就任する。
 NTTはこれまでもNECや富士通などと提携し、IOWN構想のパートナー強化に力を入れてきた。同研究所に塚野氏を迎え、IOWN構想のアライアンス戦略を強化するねらい。
 また、今年5月には京都大学の出口康夫教授との共創プロジェクトを発足する。IOWN構想が生み出す新たな社会像を人が実感できる情報に翻訳し、発信するという。

 

 

出所:NTT 決算説明会プレゼンテーション資料(2020年度決算、2021年度業績予想について)

 


左から:中山和彦執行役員 財務部門長、澤田純代表取締役社長、谷山賢執行役員 経営企画部門長