『ローカル5G導入への取組と今後の展望』を語る

――CEATEC 2020でパネルディスカッション

2020年10月22日

初のオンライン開催となったICT総合展示会「CEATEC 2020」(会期10月20日から同23日)では21日に5Gをテーマにした「5G国際ワークショップ」が開かれた。タイトルは『ローカル5G導入への取組と今後の展望』。はじめに第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)会長の吉田進京都大学名誉教授が基調講演した。セッション1では5G商用サービスが始まった韓国での5G工場利用や、日本での農業での取組を紹介。セッション2のパネルディスカッションではモデレーターをMM総研所長関口和一が務めた。

 

パネリストの主な発言要旨は次の通り。

 

・延世大学教授 キム・ソンリョン氏

日本よりも1年早く5G商用サービス開始した韓国では主要6都市を中心にかなり広まってはいるものの、期待とのギャップや課題も浮かんできているのが現状だ。5Gを本当に活用してコマーシャルのような生活を実現するには3年ほどはかかり、スマートフォン以外にも周辺環境を整備していく必要がある。

 

・総務省情報流通行政局 地域通信振興課長 金澤直樹氏

ローカル5Gは独自のニーズに合わせた仕様で構築できるのが特徴で、5Gの民主化を目指した制度。通信キャリアで独占的にまとめて基地局設置を進めた方が効率的ではあるが、通信仕様はある程度画一的なものになる。幅広いニーズをカバーできるような体制を優先するために、ローカル5G制度は構築された。免許制であり、現時点で12社しかまだ取得していないが、制度改正・ガイドラインの作成などを更に進めて取得しやすいように整えていく。

 

・株式会社クニエ マネージャー 鈴木亨弘氏

日本の農業の課題は低生産性、長時間労働、人手不足であるが、ローカル5Gの導入によって改善が期待できる。5Gの大容量通信や超低遅延は「ロボティクス」「A」「xR」のいずれにも必要となる。ただし、先行コストがかさむデメリットを解消する工夫が必要。

 

・5GMFアプリケーション委員会委員長(株式会社インフォシティ代表取締役) 岩波剛太氏

コロナを受けて日本のデジタル社会基盤の課題が露呈した。5Gが社会に浸透し真価を発揮していくためには、業界の垣根を超えて人を巻き込んでいく必要がある。

 

 

左からMM総研所長関口、金澤氏、鈴木氏、岩浪氏,右上画像内はオンライン出演のキム・ソンリョン氏。

 

CEATEC 2020 ONLINE 公式Webサイト

https://www.ceatec.com/ja/