文科省「教育のICT化」実現に向け具体策を提示

――「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」を公表

2019年09月18日

 日本の教育現場のデジタル化は海外に比べ遅れているとの指摘があり、文部科学省もようやく手を付け始めた。6月には「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」を公表、デジタル教育推進の旗を振る。

 

 文科省はデジタル化実現にむけた課題をハードと利活用の2つにわける。

 

ハードの課題:(教育現場での)通信ネットワークの脆弱性、不十分なICT環境、地域格差、市場価格より割高な機器購入の実態。

 

利活用上の課題:どのような場面でどのような機器を使えば効果的かを示した実証例が少ない。ビッグデータが教育の質の向上に活用されていない。プライバシーを重視するあまりデータ利活用がすすんでいない。

 

 

■リモート教育の視点を導入

 

 これらを解決するために打ち出したのが以下の3つの施策だ。

 

 1つ目が「先端技術の活用」で、遠隔授業やデジタル教科書、AR・VRなど教育に資する可能性が高い先端技術を実証し、2020年度内に「学校現場における先端技術利活用ガイドライン」を策定する。特に遠隔授業の実現に着目しており、これは教員の働き方改革を実現する意図もある。

 2つ目が「教育ビッグデータの標準化」。教育を通じて得られるビッグデータを標準化し、効果的な利活用ができるように整備する。子供の保険データや学習履歴データなどが該当する。こちらも20年度中に一定の結論を出す予定。

 

■世界最高速の通信インフラを初等教育に開放へ

 

 3つ目として「学習ICT環境の整備」があり、具体的な方策を3つ挙げている。①教育機関を結ぶ世界最速の通信インフラ「SINET」を初等中等教育に開放する計画だ。SINETは国立情報学研究所(NII)が構築・運用する日本全国の国公私立大学、公的研究機関等を結ぶ世界最高速級(100Gbps)の通信インフラ。これを初等中等教育へ開放し、学校・教育機関同士の交流・連携ネットワーク基盤として活用する②クラウドを積極的に活用する。特にパブリッククラウドの活用促進③安価な環境整備に向けた具体的モデルを提示した。起動時間や具体的な大きさ、保証の要件など推奨例を挙げている。具体的なスペックに踏み込んでモデル例を作成することで、ICTリテラシの低い自治体に向け導入促進を強く後押ししようという狙いだ。

 

 

URL: http://www.mext.go.jp/a_menu/other/1411332.htm