通信キャリア3社、IoT活用の事例と今後の展望について発表

――「JAPAN IT WEEK 秋」セミナープログラム

2017年11月09日

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの通信キャリア3社は2017年11月9日、IT専門展「Japan IT Week 秋」で、IoTの活用事例と今後の展望について講演した。

 

 セミナーではまずソフトバンクの法人事業開発本部 IoTコンサルティング推進室 吉田 政人氏が登壇。デジタルトランスフォーメーションに注力する企業の増加がIoT市場をけん引していると分析。IoT導入による新たな価値創出をめざす機運が高まっていることを強調した。また、さまざまな事例を用いてユースケースが細分化されていることについて説明。現在は5Gの自動運転のユースケースの増加のほか、LPWA、衛星通信などの活用について話し、最後にIoTは可視化から価値化のステップに入っている、と締めくくった。

 

 続いてKDDIは、ソリューション事業本部ビジネスIoT推進本部ビジネスIoT企画部部長 原田圭悟氏が登壇。IoTデータの利活用を支援するソリューションとして、2017年6月30日より提供開始している「KDDI IoTクラウド ~データマーケット~」について紹介した。同サービスの利用企業は、IoTを利用して集めた社内の業務データを分析する際に、KDDI提携パートナーが保有するデータ群を利用することができる。自社だけなく、外部のデータも利用することで、新たな課題やビジネスチャンスの発見、サービス品質の向上につなげるのが狙いだ。分析ツールの提供だけでなく、KDDIグループ企業による分析サービスの提供など、個々の企業のニーズや課題に応じた最適なソリューションを提供しているという。

 

 最後にNTTドコモからは執行役員 法人ビジネス本部 IoTビジネス部長 コネクテッドカービジネス推進室長の谷 直樹氏が登壇した。IoT/M2Mの領域は、LPWAの接続数が2025年までに約25倍まで増大するとした市場調査の結果を紹介するなど、更なる市場拡大を想定している。その中で、少量のデータをやり取りするIoTでは、低消費電力で長時間稼働に適した通信が求められる。そこでNTTドコモでは、IoT通信機器の消費電力を低減する通信技術「eDRX(extended Discontinuous Reception)」がコア技術になると語った。同社では2017年度末に全国のLTEエリアで提供する予定だ。同じく消費電力を低減するIoT機器向けのSIMカード「ドコモUIM(M2M)バージョン6」も2017年度中の提供をめざしているという。eRDXと組み合わせれば消費電力を従来比で約10分の1に低減できることを強調していた。