スマートソリューション部門
光通信サービス分野
最優秀賞

低消費電力、高速・大容量、低遅延の高品質な伝送を実現する光通信サービス

All-Photonics Connect powered by IOWN NTT東日本株式会社/NTT西日本株式会社

次世代通信を拓く光の専用線

NTTグループが進める次世代光通信基盤「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想」で、ネットワークから端末まで、すべての通信区間で光信号のまま情報を伝送するオールフォトニクス・ネットワーク(APN)の技術開発を進めている。APNの技術を用いた商用サービスとしてNTT東日本とNTT西日本は2024年12月から帯域保証・波長専有型の拠点間通信サービス「All-Photonics Connect powered by IOWN(以下All-Photonics Connect)」の提供を始めた。ユーザー拠点間の帯域保証型通信としては世界高水準の最大800Gbpsの帯域に対応し、高速・大容量・低遅延を実現する次世代の光通信として高く評価された。

高速・大容量・低遅延・ゆらぎゼロを実現した新専用線

All-Photonics Connectは2023年3月から提供を開始した前身のサービスである「APN IOWN1.0」をよりアップグレードしたサービスだ。APN IOWN1.0の特徴である高速・大容量・低遅延・ゆらぎゼロに加えて、帯域も100Gbpsのみであったものを10Gbps~800Gbpsとバリエーションを増やした。APN IOWN1.0は光伝送網規格OTU4での接続が前提だったが、有線通信規格のイーサネットインターフェースへの対応が進んだ。顧客側のネットワークはイーサネットを前提として構築されており、イーサネットのまま接続したい要望が多かった。加えて、サービスエリアも県内のみから県間にまで拡大した。東日本エリアを例に挙げると、従来は東京都内同士などでの通信だったが、東京—仙台間や東京—北海道間など遠隔地の拠点同士を結ぶ通信も可能となり、ニーズに合わせた柔軟な構成を実現している。データセンターや通信事業者、放送業界などで特に活用が進んでいる。

顧客にとって導入しやすい仕組みも特徴的だ。APN IOWN1.0は顧客拠点ごとに終端装置が必要だったが、All-Photonics ConnectはNTT局舎側に装置を集約する接続も選択可能のため、顧客側装置を削減することもできる。
スペースや電源コストも削減できるため、特にデータセンターや放送局など限られたスペースの現場に好評だ。

「IOWN構想」の商業フェーズへ

サービスの根底にあるのは、NTTグループ全体で推進するIOWN構想だ。従来、通信サービスは大容量・高性能になるにつれて電力消費量も増加してしまう。そこでNTTは2019年から主導してIOWN構想を掲げ、端末内部の処理を光で実現する光演算チップなどの実用化を通じて、消費電力の大幅な削減と社会全体の利便性向上を目指している。ただし、光演算チップは実用化までに時間がかかるため、一部の機能だけでもできるだけ早く提供しようという声が社内で広まった。そこで、今まで光通信は通信設備内部で何度も電気信号と光信号を変換していたところを、できる限り光のみでの通信を徹底したAPN IOWN1.0の提供を始めた。現状、省エネ効果は限定的だが、すでに遅延・ゆらぎといった品質面では従来の専用線サービスと比較しても大きなアドバンテージを得ている。

既存WAN(広域ネットワーク)サービスと比較した遅延・ゆらぎの優位性

金融・医療・放送・建設──社会インフラを支える用途へ

AI(人工知能)の台頭で需要が急増するデータセンターは近年、サーバーの入るラックがすべて埋まる状態が続いている。拡張しようにもスペースや電源、空調に限界があり、同じ建物内での拡張は難しい。そこで注目されているのが、拠点をまたいで複数のデータセンターを利用する分散型の運用である。高速回線でデータセンター間を結び、処理を分散させる方法だ。しかし、高速回線がいくら速いといっても全く遅延がない訳ではない。特に金融などの遅延に厳しい業界では分散配置は難しい。その中でAll-Photonics Connectは極めて低遅延な通信を実現できることから、遅延に厳しい業界でも分散運用を可能にする手段として採用されると考えている。医療分野でも、遠隔手術や病院間連携といった用途で、遅延やゆらぎの少なさが命を守る要素として期待されている。

放送業界でも複数の局で、実放送で使用されており、大規模な生放送番組や中継車を送らずに番組を制作するリモートプロダクションに活用されている。遠隔地のスタジオや中継現場との機器間の同期が可能となり、高品質な映像制作・編集が実現している。

現在、開催中の大阪・関西万博では、会場内の主要施設間でも活用している。2025年6月には期間限定のイベントとして約1200キロメートル離れた万博会場と北海道の農場をAll-Photonics Connectで結び、子どもたちが遠隔操作で農機を動かす実証実験を実施した。回線部分の遅延としては片道10ミリ秒以下という低遅延での制御を実現し、重機など危険を伴う機材でも安全に運用できる可能性を示した。

サービス拡充でブランド力向上へ

現状は東日本エリアと西日本エリアをまたいだ回線の敷設は対応していないため、今後は東西を横断した提供を目指す。

また、伝送帯域についても、顧客からの要望があれば、より広帯域なものの提供も考えている。ユースケースの拡大に向けて、データセンター、GPU(画像処理半導体)を取り扱う事業者、通信事業者、インターネットサービスプロバイダー、そして放送局・医療・建設業界など、低遅延が不可欠な業界を主なターゲットにしている。

APN IOWN1.0からAll-Photonics Connectへの名称変更は、より分かりやすくブランド力を高めたいという意図を込めている。今後はこのブランドのもとで多様なサービス・ソリューションを展開していく。

受賞製品・サービス一覧

2025年 大賞

スマートソリューション部門
次世代モビリティ分野 最優秀賞

次世代モビリティ分野 最優秀賞

SKYDRIVE(SkyDrive式SD-05型)

株式会社SkyDrive

2025年

スマートソリューション部門
AI分野 最優秀賞

AI分野 最優秀賞

watsonx

日本アイ・ビー・エム株式会社

2025年

スマートソリューション部門
AI分野 最優秀賞

AI分野 最優秀賞

「Stargate Project」や「クリスタル・インテリジェンス」など、AGI、ASIの実現に向けた取り組み

ソフトバンクグループ株式会社

2025年

スマートソリューション部門
半導体分野 最優秀賞

半導体分野 最優秀賞

NVIDIA Blackwell

NVIDIA

2025年

スマートソリューション部門
光通信サービス分野 最優秀賞

光通信サービス分野 最優秀賞

All-Photonics Connect powered by IOWN

NTT東日本株式会社/NTT西日本株式会社

2025年

スマートソリューション部門
光通信インフラ分野 最優秀賞

光通信インフラ分野 最優秀賞

光海底ケーブル事業

日本電気株式会社

2025年

スマートソリューション部門
非地上通信分野 最優秀賞

非地上通信分野 最優秀賞

au Starlink Direct

KDDI株式会社

2025年

スマートソリューション部門
衛星データ分野 最優秀賞

衛星データ分野 最優秀賞

「Marble Visions」の取り組み

株式会社NTTデータ/株式会社Marble Visions

2025年

スマートソリューション部門
地域モビリティ分野 最優秀賞

地域モビリティ分野 最優秀賞

「KANSAI MaaS」

関西MaaS協議会

2025年

スマートソリューション部門
DX支援分野 最優秀賞

DX支援分野 最優秀賞

BluStellar

日本電気株式会社

2025年

スマートソリューション部門
DXソリューション分野 最優秀賞

DXソリューション分野 最優秀賞

未来のコンビニ「Real×Tech Convenience」などにおける協業

三菱商事株式会社/KDDI株式会社/株式会社ローソン

2025年

スマートソリューション部門
スマートデバイス分野 最優秀賞

スマートデバイス分野 最優秀賞

コストパフォーマンスの高いスマートフォンなどの製品群

小米技術日本株式会社(シャオミ・ジャパン)

2025年

スマートソリューション部門
次世代ロボット分野 最優秀賞

次世代ロボット分野 最優秀賞

ミミズ型管内走行ロボット「Sooha🄬

株式会社ソラリス

2025年

スマートソリューション部門
最優秀賞

最優秀賞

リサーチや執筆のためのAIアシスタントツール「NotebookLM」

グーグル合同会社