スマートソリューション部門
地域モビリティ分野
最優秀賞

関西圏のシームレスな交通サービスを1つのアプリで提供

「KANSAI MaaS」 関西MaaS協議会

関西圏のシームレスな交通サービスを1つのアプリで提供

日本屈指の鉄道激戦区・関西。JR西日本やOsaka Metro、私鉄各社が長年にわたって鎬(しのぎ)を削ってきたこの地域で、大手7事業者※1が共同開発したMaaSアプリ「KANSAI MaaS」が2023年に誕生した。日本初となる鉄道事業者同士の連携による広域型MaaSとしての取り組みや、現在開催中の2025大阪・関西万博の観光需要促進に貢献していることが評価された。

大阪・関西万博の開催がアプリ誕生の契機に

 「KANSAI MaaS」誕生のきっかけとなったのは2019年10月に組織された「関西MaaS検討会」である。当時、2025年に開催が決定した大阪・関西万博に向けて、関西におけるシームレスな交通サービスを提供していこうという機運が各社で高まっていた。しかし、1社でできることには限界がある。そこで事業者の垣根を越えたひとつの交通サービスを提供できないかということで「関西MaaS検討会」が発足した。検討を進めていく中で、7社共同でのMaaSアプリを導入するという合意がなされ、2022年11月に検討会を協議会という現在の組織に改めるとともに、MaaSアプリの開発に着手した。その後、2023年9月に「KANSAI MaaS」アプリのサービスを開始。順次機能を拡張し、現在に至る。なお、サービス開始当初7事業者だった参画事業者は、現在は関西2府5県、さらに愛知県の一部を管轄エリアとしている鉄道・バス会社合計94事業者にまで増加している。

関西各地を周遊する観光客がメインターゲット

「KANSAI MaaS」は関西の主要交通を担う7事業者が共同開発したということもあり、関西の様々な地域を訪れたい人や他のエリアから関西各地へ観光に訪れる人に主眼を置いたアプリとなっている。提供開始当初からの基本的な機能としては、マルチモーダル経路検索、駅構内図や列車走行位置情報、観光スポットといった情報提供、デジタルチケット(観光施設への入場券や企画乗車券などの交通チケット)の購入機能が用意されている。さらに2024年度には大阪・関西万博に向けた機能強化として、万博会場に向けたシャトルバスの乗車券の予約・販売機能を追加。また、サービス開始当初は「KANSAI MaaS」で購入したデジタルチケットはスマートフォンに表示されるチケットの画面を駅係員に見せる仕組みであったが、これを駅改札にあるQRコードリーダーにかざすと通れるようにするといった改良も行われている。さらにはスマートフォンアプリだけでなく、ブラウザー上でのチケット購入機能などを追加し、海外のお客様が日本に来られる前から英語でチケット購入や観光情報の検索などができる環境を整えた。

アプリのダウンロード数は2025年6月現在約80万件となっているが、万博開催期間中は万博会場行きのシャトルバスの予約・乗車に関する利用が急増しており、「KANSAI MaaS」の利用者は数十万単位で増えていく見通しだ。

万博後もレガシーとして関西のおでかけをサポートするアプリへ

現在は万博効果で大きく利用者数を伸ばしている「KANSAI MaaS」だが、万博閉幕後も継続して利用してもらえるアプリとなれるかが今後の一番の課題となる。利用者の間では関西圏の鉄道・バス・タクシーなど複数の交通機関を1つのアプリでまとめて利用できる点や、当日でも出発10分前まで日時変更またはキャンセルができる柔軟性を評価する声がある一方で、ログイン時にエラーが発生することがある、アプリのUI(ユーザーインターフェース)が使いにくいといった不満の声も散見され、改善の余地は残る。そうしたアプリのさらなる機能拡張や使い勝手の改善は必須事項だ。さらに中長期的な視点に目を向けると、事業者間および関西各地の自治体・観光施設との連携をいかに深化させていけるかが、よりシームレスな移動体験の実現に向けた一番の鍵となるであろう。

※1 「大手7事業者」は、大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)、近鉄グループホールディングス、京阪ホールディングス、南海電気鉄道、西日本旅客鉄道(JR西日本)、阪急電鉄、阪神電気鉄道の7社を指す

受賞製品・サービス一覧

2025年 大賞

スマートソリューション部門
次世代モビリティ分野 最優秀賞

次世代モビリティ分野 最優秀賞

SKYDRIVE(SkyDrive式SD-05型)

株式会社SkyDrive

2025年

スマートソリューション部門
AI分野 最優秀賞

AI分野 最優秀賞

watsonx

日本アイ・ビー・エム株式会社

2025年

スマートソリューション部門
AI分野 最優秀賞

AI分野 最優秀賞

「Stargate Project」や「クリスタル・インテリジェンス」など、AGI、ASIの実現に向けた取り組み

ソフトバンクグループ株式会社

2025年

スマートソリューション部門
半導体分野 最優秀賞

半導体分野 最優秀賞

NVIDIA Blackwell

NVIDIA

2025年

スマートソリューション部門
光通信サービス分野 最優秀賞

光通信サービス分野 最優秀賞

All-Photonics Connect powered by IOWN

NTT東日本株式会社/NTT西日本株式会社

2025年

スマートソリューション部門
光通信インフラ分野 最優秀賞

光通信インフラ分野 最優秀賞

光海底ケーブル事業

日本電気株式会社

2025年

スマートソリューション部門
非地上通信分野 最優秀賞

非地上通信分野 最優秀賞

au Starlink Direct

KDDI株式会社

2025年

スマートソリューション部門
衛星データ分野 最優秀賞

衛星データ分野 最優秀賞

「Marble Visions」の取り組み

株式会社NTTデータ/株式会社Marble Visions

2025年

スマートソリューション部門
地域モビリティ分野 最優秀賞

地域モビリティ分野 最優秀賞

「KANSAI MaaS」

関西MaaS協議会

2025年

スマートソリューション部門
DX支援分野 最優秀賞

DX支援分野 最優秀賞

BluStellar

日本電気株式会社

2025年

スマートソリューション部門
DXソリューション分野 最優秀賞

DXソリューション分野 最優秀賞

未来のコンビニ「Real×Tech Convenience」などにおける協業

三菱商事株式会社/KDDI株式会社/株式会社ローソン

2025年

スマートソリューション部門
スマートデバイス分野 最優秀賞

スマートデバイス分野 最優秀賞

コストパフォーマンスの高いスマートフォンなどの製品群

小米技術日本株式会社(シャオミ・ジャパン)

2025年

スマートソリューション部門
次世代ロボット分野 最優秀賞

次世代ロボット分野 最優秀賞

ミミズ型管内走行ロボット「Sooha🄬

株式会社ソラリス

2025年

スマートソリューション部門
最優秀賞

最優秀賞

リサーチや執筆のためのAIアシスタントツール「NotebookLM」

グーグル合同会社