FTTH契約数が3500万件超え

「ブロードバンド回線事業者の加入件数調査」(2021年3月末時点)

2021年05月31日

■2020年度のFTTH市場は11年度以来の200万件近い規模の増加となった

■年間を通じてテレワーク等の需要がFTTH市場をけん引

■固定ブロードバンドでは、ワイヤレス市場が拡大の兆し

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、2020年度(2020年4月~2021年3月)のブロードバンド回線事業者の加入件数調査結果を発表した。2021年3月末時点のFTTH(光回線サービス)の契約数は3501.3万件で、2020年3月末から年間194.5万件の増加(伸び率は5.9%)となった。2011年度以来の200万件近い規模の増加となった(データ1)。2020年度上期に続き、新型コロナウイルスの影響でテレワークやWeb会議などが普及する中、自宅やオフィスでのFTTHの導入が加速。FTTH未利用者の取り込みや、モバイルへシフトするユーザーの食い止めが進んだことも市場拡大につながった。

テレワーク等による需要はやや落ち着くものの、引き続き高水準の伸びとなり2021年度は年間156万件の増加を予測。2022年3月末時点のFTTH契約数を3657万件とMM総研では予測する。

【データ1】 FTTH契約数の年間増加数推移

FTTH市場でNURO光が40%以上の高成長

FTTH事業者の契約件数シェア(2021年3月末)では、NTTの光回線(フレッツ光およびコラボ光)契約数が東西合計で2256.4万件(シェア64.4%)となった(データ2)。2020年度の純増数は90.6万件で、市場全体と同様に2011年度以来の高い伸びとなった。

コラボ光の2021年3月末の総契約数は1524.5万件でFTTH市場全体に占める割合は43.5%、NTTの光回線に占める割合は67.6%となった。コラボ光の契約数シェアでは、スマートフォンとのセット販売が引き続き好調なNTTドコモが700万件を超え、引き続き首位。ソフトバンクと合わせた携帯2キャリアのシェアは、引き続き7割超を占める。

NTT東西に次いで契約数を増やしたのはソニーネットワークコミュニケーションズ。2Gbpsを中心に販売する「NURO光」がコストパフォーマンスの高さからユーザーの支持が集まり、販売が大幅に増加。2020年度は契約数が40%以上伸びた。エリアを拡大し、2021年度も積極的な販売を維持する。

アルテリア・ネットワークスは、主力の「UCOM光 レジデンス」で集合住宅向け全戸一括型の導入が継続的に進み、2021年3月末に63.6万件(シェア1.8%)となった。小規模賃貸物件向けの新たなサービスも開始し、同市場での獲得が好調に推移した。

【データ2】FTTH契約数・回線事業者シェア(2021年3月末)

※NTT東西にはフレッツ光のほか、光コラボレーションモデルの件数が含まれる
※KDDIにはauひかりのほか、中部テレコミュニケーション(コミュファ光)および沖縄セルラー電話(auひかり ちゅら)などの契約数が含まれる
※四捨五入の関係で合計が100%にならない場合がある

 

FTTHのISPシェアはNTTコムが首位

2021年3月末のISP事業者のFTTH契約数シェアでは、NTTコミュニケーションズ(OCN)が首位を維持したものの、ソフトバンクとのシェアの差が1ポイントを切り、徐々に縮まってきている(データ3)。「NURO光」が好調なソニーネットワークコミュニケーションズのほか、NTTぷらら、ビッグローブ、ニフティが堅調に顧客を増やした。

【データ3】FTTH契約数・ISPシェア(2021年3月末)

※四捨五入の関係で合計が100%にならない場合がある

ソフトバンクが固定ブロードバンド市場でシェア首位を維持

固定ブロードバンド(FTTH、ADSL、CATV、ワイヤレス*の合計)市場では、ソフトバンクが堅調に契約数を伸ばし、シェア首位を維持した(データ4)。モバイルとのセット訴求を行う「SoftBank光」と、手軽に利用できる宅内据え置き型の無線インターネット「SoftBank Air」の双方で契約数が大きく増加した。2位以下のシェア順位も、2020年9月末時点から変動はなかった。

※無線を利用した宅内据え置き型の高速インターネットサービスを指し、モバイルルーターを含まない

【データ4】固定ブロードバンド契約数・ISPシェア(2021年3月末)

※四捨五入の関係で合計が100%にならない場合がある

ワイヤレス市場が拡大の兆し

固定ブロードバンド市場は、2023年以降にサービス終了予定のADSLや、光化が進むCATVで減少が続くものの、FTTHおよびワイヤレスの増加により2021年3月末から2024年3月末までの3年間の年平均成長率は3.1%と継続的に拡大すると予測(データ5)。2023年度には5000万件を超える見込み。

【データ5】固定ブロードバンド契約数の推移・予測

※2022年3月末以降は予測値
※ワイヤレスは、無線を利用した宅内据え置き型の高速インターネットサービスを指し、モバイルルーターを含まない

FTTH市場は2021年度に156万件増加し、2022年3月末の契約数は3657万件と予測する。テレワーク等による需要はやや落ち着き、モバイルの5Gやワイヤレスの普及も進むことから2020年度の増加(194.5万件)を下回るものの、引き続き高水準の伸びとなる見通し。中期的には、CATVインフラの光化や集合住宅全戸一括型導入が進むことなどが寄与し、増加基調が続く。2021年度以降の3年間の年平均成長率は3.6%と予測する。

ワイヤレス市場は2021年3月末時点で395万件となり、FTTHと同様にテレワーク等の需要を一定数取り込み、件数は増加した。NTTドコモがワイヤレスへの参入を発表したことから市場の動きが活発になるとみられ、2022年3月末は465万件、固定ブロードバンドに占める割合は9.6%まで拡大すると予測。開通工事が不要ですぐに利用できる手軽さに加え、より高速の5G対応製品も出てきたため、従来のFTTH等の固定ブロードバンド回線を一部代替するサービスとして普及が進む。2023年度中に600万件を超え、CATVインターネットを超える規模にまで拡大する見通しで、2021年度以降の3年間の年平均成長率は17.0%と予測する。

 


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