2013年度 国内PCサーバー出荷概況

2014年06月12日

■出荷台数は3.9%増の53万3,012台と2年ぶりの増加
■出荷金額は4年連続の増加、前年度比9.7%増の2,372億円
■14年度はサーバーOS更新需要で二ケタ増の見通し

 内出荷実績をまとめた。それによると、わが国のPCサーバー市場は、前年度比3.9%増の53万3,012台を出荷した。半期別に見ると、上半期は前年同期比2.7%減の24万9,844台。下半期は、同10.5%増の28万3,168台となった。上半期は、円安によるサーバー価格の上昇から伸び悩んだものの、下半期は民需中心にデータセンター投資が活発化し、出荷台数の増加につながった。また一部に消費増税前の駆け込み需要もあった。

 出荷金額は前年度比9.7%増の2,372億円となり、4年連続の増加。出荷金額としては統計開始(95年)以来過去最高となった。出荷単価は43.2万円と前年度から1万1,000円の上昇となった。仮想化の広がりにより1台あたりに搭載するCPU、メモリ、HDD、SDD等の増加が出荷単価を押し上げていることに加え、円安により製品原価が上昇したことに伴い製品価格自体が上昇した。

 メーカーシェアでは、富士通が順位を一つあげ、2位となった。全社重点プラットフォームとしてサーバー拡販に注力したことが奏功した。

 14年度の出荷台数は11.6%増の59.5万台、出荷金額は2,440億円(2.9%増)を見込む。出荷台数は、マイクロソフトのサーバー用OSであるWindows Server 2003のサポート終了が2015年に迫っており、パソコン同様に更新需要が発生し、二ケタ増を見込んでいる。置き換え需要の中心は、低価格の1Wayタワー型サーバーが中心となり、出荷金額は台数ほど伸びず、一ケタの増加に留まると予想している。

●今回発表のポイント 

①出荷台数は2年ぶりの増加、データセンター投資回復

 13年度の出荷台数は、2年ぶりの台数増となった。上半期は円安の影響で部品原価が上昇、これに伴いサーバー価格が上昇したことで、出荷数は伸び悩んだが、下半期に入り、データセンターへの投資が活発になったことで、出荷台数は増加した。また一部では消費増税前の駆け込み需要もあった。データセンター投資は、これまでの通信キャリアやSNS、ゲーム市場向けだけでなく、民需向けのシステム基盤などにも広がりを見せている。一連の経済政策により自動車を中心とする製造業や建設業の業況が回復していること、また各業種とも、成長の場をモバイルやIoTなどで広がりを見せるインターネット(仮想)空間に見出していることから、サーバーを含むプラットフォーム分野への投資は回復基調にあるといえる。


②メーカーシェア

 首位NECは、上半期は、モバイルキャリアのサーバー投資一巡で出荷台数が伸び悩んだが、下半期はデータセンター向けや官公庁向けの大口案件もあり、台数を伸ばした。2位の富士通は前年の3位から順位を一つ上げている。全社戦略としてサーバー拡販に取り組んでおり、ハードを基点にカスタマー数を拡大し、モバイル、ビックデータ、ソーシャルサービスやクラウドといった次世代サービスの提供により成長していく戦略と考えられる。またLenovoへの事業譲渡を発表したIBMだが13年度は2.5%のプラス成長となっている。

 各社ともデータセンターを中核とする仮想化市場への投資、戦略的な製品、サービスの充実が目立つ。具体的には、仮想化リソースの一元的な運用管理、クラウド連携等だが、運用単位は、サーバーだけでなくネットワークを含むプラットフォーム全体に対象を広げつつあり、サーバーメーカーは、ソフトウェア企業、ネットワーク製品企業、クラウド事業者などとも一部競合しつつあり、自社の立ち位置をどうするのかといった戦略面でも岐路に立っている。

③14年度見通し ~OS更新で台数の伸びが金額の伸びを上回る

 14年度のPCサーバー出荷台数は前年度比11.6%増の59万5,000台、出荷金額は2.9%増の2,440億円を予測する。2015年に予定されているWindows Server 2003の更新に伴うサーバー入れ替え需要が特に下半期に発生し、台数増を牽引するとみられる。入れ替え対象となるサーバーの多くは低価格のタワー型サーバーであるため、出荷金額は一ケタ増にとどまると見る。

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(注) PCサーバーとは、32bitベースの汎用CPUと汎用OSを組み合わせた企業向けサーバーを指す。従来は、企業内システムでのファイル・プリンタ共有など情報系システムを中心に活用されてきた。

 現在ではCPU性能と製品全般の堅牢性・信頼性の向上に伴い、独自OS・独自64bitCPUで構成するUNIXサーバーの牙城であったDBサーバーなど、基幹系システムにも浸透し、現在では、金額ベースで全サーバー出荷金額の50%以上、台数ベースでは95%を占める。


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