2014 年度上期国内パソコン出荷概要

 

2014年11月12日

■総出荷台数は前年度同期比2.7%減の672万2,000台。XP入れ替え需要の反動減が影響
■2014年度下期は34.7%減と統計史上最大の落ち込みを予測
■急激な円安で部品などの輸入価格高騰がパソコンメーカーに追い打ち

出荷台数 672.2万台 前年度同期比  2.7%減
出荷金額 5,367億円 前年度同期比 9.8%増


 MM総研(東京都・港区、所長・中島洋)は11 月12 日、2014 年度上期(4~9 月)国内パソコン出荷状況の調査結果を発表した。それによると、国内のパソコン総出荷台数は前年度同期比2.7%減の672.2 万台、出荷金額は9.8%増の5,367 億円となった。出荷ルート別では、店頭量販店及び個人向けWeb 直販を主力とする「個人系ルート」が4.2%増の266.5 万台、法人直販および法人向け販売店への出荷を主力とする「ビジネス系
ルート」は6.8%減の405.7 万台。

 出荷金額は9.8%増の5,367 億円と、台数を上回る伸び率となった。円安による部品価格の上昇に伴う値上げにより1 台当たりの単価が上昇した。メーカー別シェアでは、首位NEC レノボグループが前年度同期の27.1%から28.4%と拡大した。同様に3 位東芝は1.2 ポイント、4 位デルは0.8 ポイントシェアが増加、7 位エイスースは前年から順位を一つ上げ、ランキングメーカーのなかでは最も高い成長率となった。
 2013 年度下半期はWindowsXP のサポート終了に伴う特需の影響で、半期で960 万台を出荷。過去類を見ない特需に沸いたが、2014 年度下期はその反動による大幅減が見込まれる。さらに急激な円安進行で、実質的にほぼ輸入となっているパソコン産業は原材料や完成品輸入価格の高騰で厳しい局面を迎え、メーカー再編だけでなく販売や保守、周辺機器事業など国内のサプライチェーン全体にも悪影響が出ることが予想される。

■2014 年度上期のポイント

 2014 年度上期の国内パソコン出荷台数は、XP 入れ替え特需に沸いた2013 年度下期(前年度同期比26.6%増)から一転して2.7%減とマイナス成長となった。
 市場別では、個人市場向け出荷台数が4.2%増と、XP 入れ替えの駆け込み需要が続きプラス成長となったが、法人は大企業、中小企業向けともに入れ替え特需の反動で不調となり、6.8%減の405.7 万台となった。一方、出荷金額は、円安進行によるメーカーの原材料仕入れ価格の増加分が製品価格に転嫁されたこともあり、9.8%増の5,367 億円となった。
 個人市場、法人市場とも14 年5 月のゴールデンウィーク明け以降からXP の入れ替え需要が沈静化し、それ以降マイナス幅が拡大している。消費税増税も加わり、パソコンの新規購入や入れ替えを先延ばしするユーザーが増加している。また個人消費者は生活防衛の観点からより製品単価の安いタブレットや、通信キャリアの過熱した販売施策で、本体価格は実質0 円に近い価格で入手できるスマートフォンなどでパソコンの役割を代替させているため、パソコン購入のサイクルは一層長期化する状況と考えられる。

■メーカー別シェア動向

 2014 年に入り、ソニーの事業譲渡、東芝の事業再構築、HPの分社化発表と業界内の再編が続いている。首位のNECレノボグループは個人市場向けで店頭量販店向けを中心に攻勢をかけシェアを伸ばした。また前年2 位の富士通は、個人消費者向けで利益重視の政策をとりシェアを落としたが、法人向けでは国内生産拠点の強みを活かし、シェアを上げている。
 エイスースは個人向けシェアでは5 位、全体シェアでは7 位にランクインしている。台湾のODM大手からスピンアウトした同社は、現在では国内向けにスマートフォン、タブレット、2in1 型のハイブリッドパソコンなどモバイルを中心とした多くの機種を製品投入しており、価格とデザインの両面から若い世代の支持を集めている。
 各メーカーともパソコンだけでなくスマートデバイスを含む事業展開を加速させているが、スマートフォンやタブレットでは日本国内でアップルが「1 強」ともいえ、状況の打開には相当の投資が必要な状況。



■パソコン市場の展望~急激な円安で市場縮小に拍車
14 年度下期の出荷台数は34.7%減の626.5 万台、出荷金額も7%減の約4,700 億円
を見込む

 円安に伴う原材料高の影響は、2013 年もすでに表面化していたものの、XP 入れ替えによる特需を活かし原材料価格上昇分を製品価格に転嫁できていた。しかし2014 年度下期はこのような特需の反動減が発生しているため、製品売価の値上げは難しい状況である。急激な円安が進めば、一層のメーカー再編、さらには販売や保守事業、周辺機器事業などにも急激な事業停滞が発生する可能性がある。
 また直接的に為替の影響を受けにくいモバイルキャリア経由でのスマートデバイス販売と、Wi-Fi 通信を主戦場とし、家電量販店やビジネス系ディーラーを経由したパソコンビジネスの間では、一層モバイルキャリアが有利な状況になる可能性がある。


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