2011年度上期国内パソコン出荷概要

2011年11月09日

■低価格化が需要を刺激し、過去最高の出荷台数を更新
■NECレノボグループがシェアを拡大、成長率No.1はアップル
■HDD問題で下期市場に不透明感、震災の影響を受けた前年並みに

 MM総研は11月9日、11年度上期(4~9月)の国内パソコン出荷状況の調査結果を発表した。それによると国内のパソコン総出荷台数は前年同期比5.2%増の743.5万台。出荷金額は、同4.6%減の6,037億円となった。東日本大震災後の半期統計であり、期初時点では、出荷台数で4%程度の減少を予測していたが、台数実績は95年度から統計を取り始めて以来、上期の出荷台数としては過去最高を更新。スマートフォンやタブレット型端末などの新製品が登場する中でも、パソコン需要の堅調さを示す結果となった。

 出荷ルート別では、店頭量販店及び個人向けWeb直販を主力とする「個人系ルート」が、前年同期比9.8%増の387.9万台となり、4年連続の増加。一方、法人直販および法人向け販売店への出荷を主力とする「ビジネス系ルート」は、前年同期比0.7%増の355.6万台とほぼ前年並みに留まる結果となった。

 一方で出荷金額は、厳しい結果となった。11年度上期は前年比4.6%減の6,037億円と、二ケタ増となった前年から再び減少に転じた。価格競争による低価格化に一層拍車がかかっており、個人需要の呼び水となっていると同時に、TV、スマートフォン、タブレット型端末などカテゴリを超えた競争も過熱している。


①メーカーシェア

 メーカーシェアでは、7月に正式に持ち株会社が発足したNECレノボグループが首位となった。2社の合計シェアは26.6%と前年比で1.2ポイント拡大しており、目標の30%に向けたシェア拡大戦略を進めている。2位富士通、3位東芝は順位変動なし。期中にPC事業の再編等が検討されたHPは5位から4位へ順位を上げている。またアップルは、スマートフォン、タブレット型端末の好調がPCにも波及しており8位から7位へ順位を上げた。


②下期市場は横ばいを見込むがHDD供給問題で不透明感

 11年度下期は、タイ洪水によるHDD供給不足の状況がパソコン出荷にも影響を与えることが見込まれる。特に12月、1月に供給不足となる公算が強いが、予測値は、これらの供給不足が、年度末中(2~3月)に他の生産拠点の増産等で一定程度緩和されることを前提に、出荷台数は前年並みの750万台と予測した。ただし、HDDの供給不足問題は、前述のシナリオ通りとなるか不透明な点も多く、HDDの代替増産が進まない場合は、さらに減速する可能性もある。一方で、供給不足によるHDD価格の上昇は、パソコンメーカーが、自社生産コストで吸収しなければならず、採算面で悪影響を与える点も懸念材料だ。また欧州に端を発する世界経済の不透明感は、製造業を中心に企業のIT設備投資にも歯止めをかけており、あまり良い材料の見込めない半期となりそうだ。

 

 


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