スマートフォン契約数およびユーザーの端末購入動向(2013年12月)

2014年01月22日

■ 2013年12月末のスマートフォン契約数は5,328万件、端末契約数の44.5%まで拡大
■ フィーチャーフォンユーザーのスマートフォン購入意向は34.4%に留まる。利用料金が課題
■ キャリア変更に至るモチベーションには料金メリットが大きく影響
■ スマートフォン市場の更なる発展には料金見直しやMVNO SIMカードの活用にも期待

 MM総研(東京都港区 代表取締役所長:中島洋)は2013年12月末の携帯電話端末契約数およびユーザーの端末購入動向に関する調査結果を発表した。本リリースにおける携帯電話端末とはスマートフォンおよびフィーチャーフォンを意味し、PHS・タブレット・データ通信カード・通信モジュールは含まない。


■2013年12月末のスマートフォン契約数は5,328万件
 2013年12月末のスマートフォン契約数は5,328万件に拡大。フィーチャーフォン契約数は6,658万件となり、合わせた携帯電話端末契約数は1億1,986万件でスマートフォン契約数比率は44.5%となった。

 2013年3月末からの9ヶ月でスマートフォンは970万件増加、フィーチャーフォンは677万件減少、合わせた携帯電話端末契約数は293万件増加した(データ1)。なお、契約数にはNTTドコモ、au、ソフトバンクモバイル、イー・モバイルの4キャリア契約数に加えて、上記4キャリア(MNO:移動体通信事業者)の回線を借りてサービスを展開するMVNO(仮想移動体通信事業者)のSIMカード契約数を含む。

■フィーチャーフォン利用者のスマートフォン購入意向は34.4%に留まる
 今後の端末購入意向について質問した結果、スマートフォンユーザーは「スマートフォンを購入」95.2%、「フィーチャーフォンを購入」4.1%となり大多数がスマートフォンを再購入する意向があることが判明した。一方、フィーチャーフォンユーザーは「スマートフォンを購入」34.4%、「フィーチャーフォンを購入」62.4%となり、今後もフィーチャーフォンを継続利用する意向が高く、スマートフォンへ買い替える意向が低いことが判明した(データ2)。

■今後スマートフォンを購入したい理由は利便性や楽しさ
 今後スマートフォンを購入する意向がある理由としては、「いろいろな機能やサービスが利用できて便利」43.2%、「現在利用していて満足(楽しい)」31.8%、「新しいスマートフォンに興味・関心がある(購入したい端末がある)」23.8%、「コミュニケーションツールとして必要」19.1%、「生活必需品(なくてはならない)」18.0%の順となった。


■今後のスマートフォン非購入意向(フィーチャーフォン購入意向)は高い料金と必要性の無さ
 今後スマートフォンではなくフィーチャーフォンを購入したいと考える理由としては、「スマートフォンは月額利用料金が高い」48.3%、「スマートフォンに必要性を感じない」46.3%、「フィーチャーフォンに満足している」37.9%、「スマートフォンの端末価格が高い」30.8%、「スマートフォンの使い勝手が悪い」20.4%の順となった。スマートフォン購入を敬遠する要因として料金面の高さと、必要性を感じていない傾向が高いことが明らかとなった。


■フィーチャーフォン利用料金はスマートフォンの約半分。MVNO SIMカードは約4分の1
 現在利用している端末種類別の月額利用料金(※)について分析した結果、スマートフォンは6,826円、フィーチャーフォンは3,746円となった。
なお、昨今低価格を武器に存在感を示しているMVNO SIMカードの月額利用料を同様に分析した結果、1,801円となった(データ3)。

※「月額利用料金」=「通話料金」+「データ通信料金」+「オプション契約料金等」  (端末購入費用・端末割賦料金は含まない)

 また、今後のスマートフォン非購入意向者に対して、月額利用料金がいくらであればスマートフォンを利用してもよいと考えるかについて質問した結果、「1,000円~1,999円」18.6%、「2,000円~2,999円」18.9%が特に高くなった。「~2,999円」までの累計で約48%、「~3,999円」までの累計で約60%のスマートフォン非購入意向者がスマートフォン購入に傾く可能性があることが窺える結果となった(データ4)。

■キャリア変更するためのモチベーションは料金メリットの影響が強い
 現在利用の端末および今後の端末購入における購入形式意向より、同一キャリア内での「機種変更」とキャリアを変更する「乗り換え」について、それぞれの理由を確認した。今後、機種変更で購入したいと考える理由としては「家族・友人・知人などと同じ携帯電話会社」39%、「利用している携帯電話会社のエリア・繋がりやすさに満足」「利用している携帯電話会社のサービスに満足」16%、「利用している携帯電話会社の料金に満足」・「利用している携帯電話会社の端末に満足」15%の順となり、家族等と同一キャリアであることが最も重要であり、現状に満足しているので他キャリアへ変更する必要性がないと考えている様子が窺える。

 一方、乗り換えでは料金面でのメリットを重視している傾向が明らかとなった。今後の乗り換え意向の理由としては「割引・クーポン・キャッシュバック」31%、「今後購入する携帯電話会社の料金に期待」26%、「今後購入する携帯電話会社のサービスに期待」11%、「現在利用している携帯電話会社のエリア・繋がりやすさに不満」・「家族・友人・知人などと同じ携帯電話会社」10%の順となった。「家族等と同じキャリア」は、現在利用している端末を乗り換え購入したユーザーの理由として32%と最も高く、家族で同一キャリアに統一する料金メリット以上の効果が期待されている傾向が窺える。


■スマートフォンの料金体系見直しや携帯LCCによるMVNO SIMカードが更なる発展のカギ
 スマートフォン契約数は堅調に増加しているが、依然としてフィーチャーフォン契約数が上回っている。現在の状況が継続すると仮定すると、スマートフォン契約数が過半数を突破するのは2014年度第3四半期になると予測する。フィーチャーフォンユーザーは月額利用料金が現状よりも高くなることを懸念しており、それがスマートフォンへの移行を敬遠する最大の要因となっている。大手キャリアが今後もスマートフォンを中心とした販売戦略と契約数拡大を目指すのであれば、限定的なキャンペーン等のみではなく月額利用料へのテコ入れ判断が迫られるかもしれない。

 また、利用可能サービスとデータ通信量・通信速度を一部制限することで低価格を実現しているMVNO SIMカードは、まさに携帯電話LCC(ローコストキャリア)として普及拡大のチャンスがあるだろう。MVNO SIMカードは一般的にキャリアメールや音声通話が利用できないといったデメリットもあり(アプリを利用したIP電話は可能)、現在は利用者の多くがスマートフォンやタブレットも併用する、いわゆるハイエンド層の複数台端末利用に留まっている。これが、今後はコストパフォーマンス重視ユーザーの有力な選択肢の一つとして浮上する可能性もあるだろう。例えば、家族が利用していた端末にMVNO SIMカードを挿入して学生の子供が利用およびその逆のケース、自分で中古端末を店舗やインターネットで購入して2台目端末として利用するケース、コスト意識の高い法人市場での活用、などが想定される。

 大手キャリアとしては月額通信料の低下は避けたいのが本音であるが、まずはスマートフォンへの移行を確固たるものとすることが重要だろう。その結果がユーザー基盤を活かした関連サービス市場の拡大と新たなビジネスチャンスの創出に繋がるのではないだろうか。2014年度には新たな料金プランの登場を含めて、スマートフォンの次も見据えた中長期的な成長戦略に期待したい。


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