2013年 国内PCサーバー出荷概況

2014年03月12日

■出荷台数は前年比1.4%減の51万6,654台 
■出荷金額は前年比3.7%増の2,280億円、4年連続の増加
■2014年はOS更新需要で台数増の見込み

 MM総研(東京都港区 代表取締役所長:中島洋)は、2013年(1~12月)のPCサーバー国内出荷実績をまとめた。それによると、国内PCサーバー出荷台数は、前年比1.4%減の51万6,654台となった。一方、出荷金額は、前年比3.7%増の2,280億円、出荷平均単価は44.1万円と前年比2万2,000円の増加となった。

2013年メーカーシェア




 メーカーシェアでは富士通が2位となった。シェア差は0.9ポイントと首位NECに肉薄している。総出荷台数は昨年期初、微増を予測していたが、円安による部材価格高騰やモバイルキャリアの通信設備需要に一服感があり、年前半に伸び悩んだ。しかし年後半にはクラウド事業者やシステムインテグレータのデータセンター増強を中心に出荷台数は、プラス成長に転じている。一方、出荷金額は、2010年以降4年連続の増加。仮想化技術活用による物理サーバー集約の影響が単価増につながっている。

 2014年前半は、消費税駆け込み需要と反動、年後半は2015年央に予定されているWindowsサーバーOSのサポート終了に伴う更新需要が発生するなど、需要の変動が多い一年となるが、引き続き仮想化需要に加え、企業のクラウド活用を見越したサーバーの移設や集約が続き、出荷台数は増加、出荷金額は微増が見込まれる。14年の総出荷台数は5.3%増の54万4,000台、出荷金額は1.8%増の2,320億円を見込む。


■2013年のポイント
①出荷台数は1.4%減の51万6,654台、下期からはプラス成長に転じる
 国内PCサーバー市場は、上半期(1~6月)に前年比6.4%減の24万4,264台、下半期(7~12月)は3.5%増の27万2,390台となり年後半に成長率がプラスに転じた。上半期は、円安による部材価格上昇やテレコム需要反動で伸び悩んだが、下半期は法人ユーザー向けのデータセンター需要が回復したことでプラス成長となった。2014年に入り1-3月期も消費税増税前の駆け込み需要もあり、台数は増加傾向である。


②メーカーシェアの動向 
 メーカーシェアは、富士通がシェアを1.6ポイント増やし、2位となった。首位NECとの差も1ポイント以内となった。年後半にデータセンター、官公庁向けの大口需要があったことと、パートナー支援に注力し中堅以下の市場でも出荷数を拡大している。首位のNECは伸び悩んだが、2012年前半のテレコム大口需要の反動の影響があった。13年度末から14年後半にかけOS更新需要を取り込み巻き返せるか注目が集まる。また、IBMがLenovoにx86サーバー事業を譲渡することが発表された。14年に入ってもIBMはハイエンド新型x86サーバー製品を投入するなど技術革新を続けており、スケールメリットを活かせるLenovoへの事業譲渡で価格競争力とスケールメリットの両者を手に入れることになる。ただし、特に日本市場では、今回の事業譲渡が顧客にとってどのようなメリットをもたらすのかを、丁寧に説明する必要があるだろう。


③出荷金額は前年比3.7%増の2,280億円、単価は44.1万円
 2013年の出荷金額は、2,280億円で前年比3.7%増、出荷平均単価は44.1万円と前年から2万2,000円の増加 。引き続きサーバー仮想化技術を利用した複数のサーバーを統合する動きが加速しており、データセンター専用の高密度サーバーなどに需要がシフトしている。これに加え、通常のサーバーも特にメモリやサーバスイッチ等の周辺装置で高性能品需要が高まり単価の押し上げにつながっている。


■2014年の見通し ~年後半にOS更新需要が始まり台数5%増を予測 
 2014年のサーバー市場は、前半は消費税増税前の駆け込み需要とその反動があると予想されるが、上半期合計では5.6%増の25万8,000台と予測する。後半は2015年にサポート終了を控えたOS、WindowsServer2003の更新需要が始まり、5%増の28万6,000台を予測。年間では5.3%増の54万4,000台と予測する。

 円安の影響は昨年期初に予想したとおり、上半期には短期的に出荷台数の伸び悩みの要因の一つとなったと見られるが、景気回復トレンドで年後半には持ち直しの兆しを見せている。ただ、ここ数年牽引役となっていたテレコム需要やゲーム、SNS業界向けのサーバー需要には陰りがみられるため、景気回復トレンドが続き、民需や官公庁需要等、エンタープライズユーザーの本格的な投資回復が続くかが焦点となろう。エンタープライズ領域ではスマートデバイス、クラウド、ビックデータといったテクノロジーを経営戦略に取り込み、企業成長を加速させようという機運が高まっている。2014年はサーバー業界においても、テクノロジー(モノ・技術)起点から顧客起点(コト)へと競争軸が変化する1年となろう。


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